STORY 35 ページ13
「んん゛ん゛〜」と唸っていれば、藤田はペットボトルの底で俺の頭をコツンと叩いた。
「おい」
『痛ッ』
「まずは、河野」
『……おう』
「河野と決着つけてこい」
『うん』
正直、河野との話し合いはしたくない。
河野の傷ついた顔は見たくない。
けれど、このままだと、河野を傷付けさせたままだ。
「………俺さ、正直、…お前と河野の友情は、応援したくねえんだわ」
『は?なんで』
「うるせえ、聞くな」
『意味わかんねえし。なんで?』
「聞くなって言ってんだよ」
ペットボトルの底を頬に押し付けてくる藤田の手を振り払う。
「…でも、お前が河野の事で悩んでるブッサイクな顔は、……見苦しいから見たくねえ」
『ああ゛!?』
「だから、話し合ってこい」
コトン、と床にペットボトルを置いた藤田は、俺に顔を向けた。
「アイツなら、ちゃんとお前の気持ち分かってくれるから。お前はこの俺とでさえ、………仲直り出来たんだから、…河野とだって出来るだろ」
『確かに。お前と仲直りするのは、かなり勇気が必要だった』
「だろ?河野となら大丈夫だろ。その後に、木兎さんと赤葦さんのことを考えれば良い」
『どう考えたら良い?』
「いちいち聞いてくんな」
藤田は空になったペットボトルを持つと、その場に立ち上がる。
弱く吹いた風が藤田の制服を揺らし、俺は太陽の光を浴びる藤田を見上げた。
「蒼井が、隣にいたい、と心から思える相手を選べば良い」
そう言った藤田は俺に背中を向けると、屋上の扉に歩き始めた。
「もう6時間目終わるぞ。部活に遅れるなよ」
俺に背中を向けたまま、片手をヒラリと泳がせる藤田は扉の向こうに消えてしまった。
しん、と静まり返った屋上。
地面に散らばったパンの袋や空になった紙パックのジュース。
俺は再びぼんやりと青空を見上げた。
『…隣にいたい、と心から思える人、か…』
そう呟いた俺とは別に、藤田は薄暗い階段を一段ずつ降りていく。
廊下の壁に寄り添うように置かれているゴミ箱にペットボトルを投げ入れた藤田は、両手をポケットに突っ込んだ。
「……俺はいつになったら、お前の心友になれるのかねえ」
ーーーーーー
to be continue…
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀`*)ポッ次回作楽しみ( ´Д`)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/キサキ シュ-トさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/キサキ シュ-ト(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです!どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです!ホントに素敵な作品をありがとうございます!! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ!、ぁぁぁぁあああ!最高ぉぉおおおお!最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう! (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年10月21日 21時