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STORY 15 ページ45

ギュッと拳を握り締めて振り返り、影山の背中に向かって腹の底から叫んだ。


『影山!!!!!』


そう叫ぶと、影山の足は急停止するようにピタリと止まり、ゆっくりと俺へ体が向けられる。

影山に伝えたい今の気持ちが、喉から上昇してくる。

今にも吐き出してしまいそうな言葉を、影山の振り向いた顔を見つめながら飲み込んだ。

そして、次に出てきた言葉を、小さく笑みを添えて吐き出した。


『……頑張って』


そう声をかけると、影山は「ああ」とだけ言い、再び背中を向けて走り出した。

どんどん小さくなる影山の背中を、拳を握り締めながら見送る。

無意識のうちに眉が寄って八の字に下がる。

数週間前まで、こんな感じじゃなかったのに。

俺ともっと、会話をしてくれたのに。

今の影山の瞳に、俺は映っていなかった。

今の影山の頭の中には、俺はいないみたいだ。

悔しくて唇を噛み締めていると、ふいに頭の上に手の平が乗り、ぽんぽんと軽く叩かれる。

頭上からじわじわと手の平の温かさが滲む。

以前にも影山から、こうして頭を撫でられたことがあった。

その時の記憶が蘇る。

振り返ってその手の平の主を確かめてみるけれど、そこにいたのは影山ではない。

前髪を左右に分けていて、眠そうな瞳を俺に向けている国見だった。

国見は何も言わずに俺の頭を撫でると、小さな声で「帰ろう」と言った。

国見の言葉に、「うん」と頷きながら返事をすると、二人肩を並べて歩き出す。

モヤモヤとした気持ちは消えないけれど、隣に国見がいてくれて、良かったかもしれない。

もし、国見が隣にいてくれなかったら、俺はきっと、………泣いていただろうな。



ーーーーー
to be continue…

※続編について→←STORY 15



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作者名:磯野 | 作成日時:2018年3月15日 22時

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