涙がこぼれる ページ17
ジニョンのアパートから一緒に病室に帰って来た。ジニョンは「またビョルに会わせてあげる」と微笑んで帰って行った。
そのあとやる事もなくて、決められた範囲内なら散歩程度に歩いてもいいので、何気なく点滴と共に病室から出て院内をフラフラする。
エレベーターで二階におりて、一部がガラス張りでテーブルと椅子が置かれている休憩スペースのような所で休んでいると、あれ、という声が耳に入った。
振り向くと、そこには懐かしい姿が。
「Aさんじゃないですか」
「あ、ジェファンさん」
ジーパンに黒いパーカーと言うシンプルな服装をした彼は、パジャマ姿の私に気になったのか「どうされたんですか？」と訊いてきた。
「ああ。
実は、体調があまり良くなくて入院しているんです」
ジェファンさんは？と質問をすると、彼は苦そうな表情をした。「いやー、最近喉が痛くて。のど飴も効かなかったんですよ」
「歌手を目指しているのに喉のケアもできないなんて、俺ったら本当だらしない」
「あら…
え、歌手を目指されているんですか？」
「あ、そうなんです。
風邪かなあ。今まで喉痛めたことなかったからなあ」
彼は恥ずかしそうに、頭の後ろをかいた。
「Aさんとここで会うとは思ってもいませんでした。
…せっかくですし、そこに座って少しお話ししましょう？」
そう言って指差した窓に一番近いテーブル。私が頷くと、ジェファンさんは私に先に座っているように促し、自動販売機に飲み物を買いに行った。
「コーヒー、飲めますか？」
「あ、はい」
「甘いのと、苦いのどっちがいいですか？」と両手に持っている缶コーヒーを持って見せるので、甘い方、と彼の右手に持っているものを指差した。それを受け取る。
ジェファンさんは向かい側の席に座って、それを開けながら嬉しそうに話し始めた。
「聞いてくださいよ。
Aさんに歌声を褒められてから、色んな人に歌声を褒められるようになったんです」
「え、そうなんですか？」
「はい。
バイト先の先輩や、大学の先生とか…。
Aさんの魔法なんじゃないかって」
そう言うジェファンさんはすごく目がキラキラしていて、私のお陰なんかじゃないって分かっているのに、なぜか胸の奥がほっこりして嬉しくなった。
「そんなことないですよ。
ジェファンさんの実力です」
「やー、褒め上手！
俺のバイト仲間と真逆ですね」
彼は再び、コーヒーを口に含んだ。
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gumi - 真実さん» そういうことを言って頂けて本当に嬉しいです。最近占ツクには全然来れていなくて、久しぶりにここを見に来たのですが嬉しいコメントが来ていてとても心が暖かくなりました。他のも読んでくださったのですか！？ありがとうございます！ (2018年11月11日 21時) (
レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - ただただ感動しました。こんなに人を泣かされる作品を作れる方は本当にすごいです。他の作品も少し読ませていただいたのですが、全部良くて、また読み返したいなと思います。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 77640d9d62 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - パジさん» 返信遅くなって申し訳ありません！わー！ありがとうございます！文を書くのは好きなのですが得意な訳では無いので、伝えたいことがきちんと伝わるか心配だったのですが…(><) そんなにたくさんのことを感じていただけたなんて私は幸せものです！ありがとうございます^^ (2018年7月2日 3時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
パジ - はじめまして！全部読みました！結構速い段階から泣きっぱなしでした…なのに読み終わった後は何だか笑顔になれて、私もいつか素敵な人に合えるのかなとか、もっと家族や友達を大切にしようと思えるような、素敵なお話だと思いました。 (2018年6月26日 23時) (レス) id: 85af0eaaac (このIDを非表示/違反報告)
gumi - KooKさん» わー！すごい嬉しいです！！全部読んでくださったのですか！？ありがとうございます！！ (2018年4月28日 23時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gumi | 作成日時：2018年2月9日 16時
