ついた結果は君を傷つけた ページ14
「やあ〜」
星だけが光る夜空に埋もれる人影に、そう声をかける。橋に肘をかけて海を見て黄昏ていた人影は俺を見るなり嬉しそうに微笑んだ。
「ジニョナ〜久しぶり」
「久しぶり、ジフン」
彼は優しい眼差しで俺を見つめる。そして口を開いた。「それで、話って何?」
俺は一回、深く息を吸う。
これは緊張してる時に俺がよくやる癖だって、ジフナが言っていた。
ジフナはそんな俺にちらっと視線を動かして、すぐに海の方に目を向けた。
「…三日前、なんだけど」
「うん」
まだ秋なのに、自分の吐き出す空気が震えるのがわかった。
「彼女が余命宣告されてるってことを知ってさ」
動揺してるって、泣きそうだっていうのを隠したかったからできるだけ普通に話す。
「…でも、病気にかかってたのは2年も前からで。ずっと、隠してたんだ。
余命宣告されてたのも4ヶ月黙ってて。
今日も明るく振舞ってたけどやっぱり苦しいと思うんだ。
…そういう時、どうすればいいかな」
「…それって、ジニョンの立場でってこと?」
「うん」
そう。俺の立場で。
彼氏、って言う立場で。
ジフナはしばらく無言で、海を見つめた。海は月明かりに照らされて、青く光っている。静かな波音が耳に届いた。
「…そうだな。
俺が彼女だったら…ずっとそばにいて欲しいかな。
でも2年も黙ってるような子ならきっと、気つかってそんなこと言わないよね」
「…そっか」
「なにか思い出になるようなことするとか。
…まあ、彼女ちゃんに何をして欲しいか聞くのが最善だと思うけど」
ジフナはそう言って、黙り込んだ。それは話すことがないから黙っているという沈黙じゃなくて、黙って何かを考えているというもののような気がした。
ジフナがポツリ、と呟いた。
それも少し悲しそうに、切なそうに。
「…ずっと一緒にいられるけど想いは届かないのと、
ずっと一緒にはいられないけど想いは届いているの。
一体、どっちがいいんだろうね」
それは、ジフナと俺のことを言っているんだと察した。
「そうだね。
…どっちがいいんだろう」
俺が君にしてあげられることはなんだろう。
そう思いながら、満天の星空を見上げた。
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gumi - 真実さん» そういうことを言って頂けて本当に嬉しいです。最近占ツクには全然来れていなくて、久しぶりにここを見に来たのですが嬉しいコメントが来ていてとても心が暖かくなりました。他のも読んでくださったのですか!?ありがとうございます! (2018年11月11日 21時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - ただただ感動しました。こんなに人を泣かされる作品を作れる方は本当にすごいです。他の作品も少し読ませていただいたのですが、全部良くて、また読み返したいなと思います。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 77640d9d62 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - パジさん» 返信遅くなって申し訳ありません!わー!ありがとうございます!文を書くのは好きなのですが得意な訳では無いので、伝えたいことがきちんと伝わるか心配だったのですが…(><) そんなにたくさんのことを感じていただけたなんて私は幸せものです!ありがとうございます^^ (2018年7月2日 3時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
パジ - はじめまして!全部読みました!結構速い段階から泣きっぱなしでした…なのに読み終わった後は何だか笑顔になれて、私もいつか素敵な人に合えるのかなとか、もっと家族や友達を大切にしようと思えるような、素敵なお話だと思いました。 (2018年6月26日 23時) (レス) id: 85af0eaaac (このIDを非表示/違反報告)
gumi - KooKさん» わー!すごい嬉しいです!!全部読んでくださったのですか!?ありがとうございます!! (2018年4月28日 23時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:gumi | 作成日時:2018年2月9日 16時