【イナイレ】おんぼろ人形のワルツ

第２８話　瞳 ページ30

怪我を負った栗松に代わり、吹雪がチームに復帰したその翌日

オルフェウス対ナイツ・オブ・クイーンの試合を見た鬼道達は、練習に身が入っていない様だった



久「練習中止！！グランドでサッカー以外の事を考えるな！！頭を冷やせ」



久遠の一言で練習は中止となる



春「あ、あのっ吉窪く「貴)木野さん、タオルもらえるかな」」


秋「あっはい、どうぞ」



春奈の声が聞こえていたのか否か、遮るように秋に声をかけたA

秋からタオルを受け取るAを見て、春奈は目を伏せた



鬼「……」


木「うわー、鬼道さんコワ。うっしっし」



鬼道の雰囲気を感じ取り笑う木暮だが、その額には冷や汗



各々が宿舎に戻って行ったり、そのままどこかへ出かけたりとする中

宿舎に入ろうとしたAを、また鬼道が呼び止めた


何やら怒っている様子の鬼道に、首を傾げる



貴「？…どうかし「鬼)どういうつもりだ」え？」



突然の言葉に、思わず瞬きを２度



鬼「最近、やたらと春奈を避けているようだが…それはどういうつもりだ、と聞いている」


貴「！」



春奈から一度、Aに避けられているような気がする…と相談を受けていた鬼道

それ以前から、鬼道も薄々感じていたようで見張っていたら案の定。というわけだった



貴「……」



Aは一瞬目を伏せるが、クルリと宿舎に向き直し歩いていく



鬼「待て！」



その後を追って宿舎に入る鬼道



鬼「以前までは買い物にも一緒に行ったらしいな」


貴「…怒ってる？兄である君との時間を俺にとられて」


鬼「いや、春奈が選んだことに口を出す気はない」



ロビーを通り、部屋のある２階へ続く階段を登るAを追いかけながら、話を続ける



鬼「だが、春奈が傷つくとなれば話は別だ。まず、避けているのに違いはないんだな？」


貴「……そうだね」



足を止めないAの言葉に、鬼道は質問を続ける



鬼「何故だ？」


貴「…彼女が、純粋で、良い子だからだよ」



そう呟いたAは、自室のドアを開けて中に入る



鬼「？…それは、どういう意味だ」



鬼道も部屋に入り、ようやく足を止めたAの背をじっと見つめる

だが、部屋に入って来た鬼道を横目で見たその目は



鬼「！！」



いつもからは想像できないほど冷たく、思わず冷や汗が流れるほど

そして一瞬だけ見えたその目に、鬼道は見覚えがあった



鬼(あの女と、同じ……！？)


冷たく、何も映さない瞳

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