2*夏休みの始まり ページ4
お母さんと話してから寝た次の日。
私は学校に向かっていた。
お母さんから話を聞く限り、明日から夏休みらしい。そして、お母さんも夏休み中にお休みが取れるらしい。
…中学生も悪くない。
校長「えー、では終業式を終わります。良い夏休みを!」
担任の話を聞いた後、荷物をまとめて家に帰る。
お母さんは今日も仕事らしい。
貴『ただいま。』
誰もいない家に声をかける。…もちろん返事はない。
荷物を下ろしてふと机の上を見やると、
貴『あっ…!』
お母さんのお弁当。忘れたら困る、と昨日言っていたのに。時計をみると、まだ10時半。
急いでお母さんに電話をかける。
電話してすぐに出たお母さんの声は慌てていた。
あんず「雪華っ!お弁当ある?」
貴『うん。あるよ。…これ、どうすればいい?』
あんず「うーん…どうしよう…」
貴『…私、届けようか?』
つい、つい口から出た言葉がそれだった。
あんず「え!いいの?」
もう言ってしまったんだ。
引き下がれない。
貴『うん。いいよ。…場所、教えて?』
夏真っ盛りの猛暑の中、私はとあるスタジオまで足を運んでいた。
もちろん、お弁当を届けるために。
やっぱり薄着で空気の通りやすい服を着てきて良かった。白と紺のフード付きのノースリーブワンピース。クローゼットで見つけて、すぐに気に入った。
てくてくと歩いて行くと、
貴『あ。』
お母さんのいるスタジオが見えてきた。
受付の人に事情を話すと、スタジオまで案内してくれた。
廊下にあった時計を見たが、今は11時半過ぎだった。お腹が空いてしまっているだろうか。
そんな事を思いながら、スタジオのドアを開ける。
すると、
あんず「あっ、雪華!」
お母さんが私に手を降ってくれていた。
小走りでお母さんの所に行き、お弁当を渡す。
貴『これで大丈夫?』
あんず「うん!ありがとう、大変だったでしょ?」
貴『ううん、平気。』
そんな事を話していると、
?「あ、雪華だー!久しぶりー!」
私に声をかけてきた人がいた。
それは写真でみた、オレンジ色の髪の男の人だった。
?「元気だった?」
屈託なく笑うこの人は、どことなくお母さんに似ているような気がした。
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作者名:ワカナ | 作成日時:2017年11月15日 21時