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マンションに戻ると、リビングで和也がテレビ前でゲームをしていて、私はその背中に向かって「ただいま。」って声をかけた。
和也は返事をしないで缶ビールを飲み干す。
送らなくていいって言ったのに送りに行ったから怒ってるのかな。
私は冷蔵庫からペットボトルの炭酸水を取り出すと居心地悪くて自分の部屋に向かおうとした時、
和也：「…お前さぁ…」
和也がボソリと呟く。こっちを見ないまま。
和也：「両方にいい顔すんなよな。」
A：「………は？」
振り返っても顔は見えない。
和也：「どーすんだよ。」
A：「………どうするって………」
そこまで言うと和也は寝そべったままこちらを振り返って肘をついて私を見上げた。
和也：「………俺どーしたらいいの。」
A：「………。」
.
.
.
捨てられた子犬みたいな………顔。
.
.
.
私は持ってたペットボトルをカウンターに置くと和也の前に座り込む。
和也：「………。」
A：「………私だって、」
和也：「………うん。」
A：「………どうしたらいいのか分かんないんだよ………。」
和也：「………。」
A：「弄ぶ気も気をもたせるつもりもないよ？」
和也：「ん。」
わかってるって顔。
和也は私を見つめた後、指先を私の頬に触れさせた。
A：「でも、」
触れた指先は嫌じゃなくて。
A：「和也の気持ちは素直に嬉しかった。険悪感も拒否感も不思議となかった。」
和也：「………。」
A：「もともと弟としてなんか見てなかったのかもね。」
そう言うと和也はふふっ、と笑って、
和也：「いい弟なんて演じてたまるかって思ってた。」
ああ。
戦ってたんだな、和也はずぅっと。
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作者名：＊まぁ＊ | 作成日時：2021年3月21日 18時
