【文スト】人間失格の息子と或る番外編【男主】

太宰治の子育て奮闘 ページ1

太宰治、十五歳。


この度父親になりました。



＿＿＿＿＿＿＿＿

泣いている赤ん坊を抱っこしてぼーっと座るまだ大人になりきれていない一人の少年。


名を太宰治。



太「はぁ、何で泣いてるの」



思わずため息が出てしまう。
世の母親達はこの訳分からない小さな怪獣を相手にしているのか？



太「ねぇ、泣き止んでよ」

「うぅ！おぎゃぁ！！」

太「はぁぁ……」



大きな声で泣いているのは小さな赤ん坊。
太宰の息子で本日、太宰Aと命名された。




太「ミルクはあげたし、オムツも変えた。これ以上何をしろって云うの」



太宰とて初めての子育てであり、まだ十五歳だ。

こちらが泣きたい。



「うぅぅぅあぅ…！」



現在深夜二時。

泣き始めて一時間。

これが噂に聞く夜泣きかと太宰は思った。

確かに面白そうだから育てるとは云ったが、こんなに大変だったとは知らなかった。



「あぅ………」



とりあえず森に教えて貰った知識を思い出し、横に揺らしているが泣き止む気配は無い。



太「A、お願いだから泣き止んでよ。面倒なんだから」



この太宰が謝るなんてことは奇跡に近い。

どちらかというと太宰はいつも謝罪させる側だ。

そうこうしている間にも一時間が経とうとし、ミルクの時間が迫ってきた。


赤ん坊っていうのは三時間おきにミルクをやらないといけないらしい。



太「ミルク……」



太宰は己の手には似合わない哺乳瓶を手に取り台所に向かった。






太宰の夜はまだまだ長い。

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