他人様の作品スピンオフ番外５ ページ19
元作品「【 d! 】だから配信中に名前を呼ぶな【 zm 】」
スピンオフ番外
作者様から許可は取得済
Episode*１１の裏側そのに
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「はー」
深々と、それはもう深々と溜息を吐き出した。ベランダから見上げる月は美しい。まあ、月が綺麗ですねなんて言う相手はおらんのやけど。内心呟いて、苦笑する。自分から傷を抉ってどうするのだ。
まだ勤め先には入社してすぐで、上司や先輩方も忙しなくくるくる回っているところに、自分一人帰宅させられたのはちょっとショックだった。
まあ仕方ない。それが先輩方の気遣いだと言うことはわかっているし、自分に特に優しくしてくれる、自分の教育係の先輩に両手を合わせて懇願されてしまえば嫌ですとはとても言えない。
少し粘ってみたけれど、粘れば粘るだけ先輩が退社する時間が遅くなるだけだと気づいて仕方なく諦めた。
ほんとあの人は優しいなあ、とぼんやり思う。
クレーマーの相手を積極的に引き受けるし、周囲をよく見ていて、仕事に詰まっている人を見かけるとすぐに飛んでいって手伝ってやっている。たぶん本人の気質であって、しかも当人はそれを自覚していなくて、結局誰よりも多い仕事量を抱えているのだからちょっと心配だ。そんなことに気づく彼自身も、また、周囲をよく見ているわけなのだが。
「……あのままだと、潰れたり、せんかなあ」
若干心配になるけれど、まあ、自分がよく見ていればいいだけなのかもしれない。それに彼女曰く、お隣さんが優しくしてくれるらしいし。
お隣さんも気遣いのできる女性なのかもな、と結論づけて、彼がふとケータイに視線を落とせば通知がぴこんぴこんと鳴り響いていた。
開ける。
げっ、と彼は声を漏らした。
ゾム：俺のお隣さんに合鍵渡したった
コネシマ：いやなんで？
そこから続くツッコミの羅列、そしてふてくされたような反論。指を動かして、彼もそこに参戦する。
ショッピ：マジでぞむのさん逃げてはよ逃げて
ゾム：なんでや殺すぞ
ショッピ：怖…………
「ゾムさん怖すぎひん？」
ぼそっと彼は呟いた。
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弥兎。(プロフ) - 文の構成だったり、心情表現だったり、全てが好みで読みやすいです。『はい上官』が特に気に入ってます。これからも活動頑張って下さい、影ながら応援させていただきます！ (2019年10月1日 17時) (
レス) id: 029d2a2f18 (このIDを非表示/違反報告)
スギ花粉(プロフ) - 初めまして、こんにちは。 「配信中に〜」のスピンオフ番外目当てで読み始めたのですが、それ以外の作品もとても素敵で気付いたら全部に目を通していました。「そんな夢を見ました」が特に好きです。 素敵な作品をありがとうございます、これからも応援しています。 (2019年8月25日 19時) (レス) id: c38b9cd639 (このIDを非表示/違反報告)
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