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前話の続き
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そんな中、ゾムがポツリと呟いた。
「てゆーかそもそも、ゲームじゃないからなぁ」
あっそうなの、と皆の興味が再びゾムの上機嫌の理由の方に移る。
「じゃあなに？」
問うたのはロボロだ。
それに対して、ゾムは簡潔に答えた。
「俺にお隣さんができた」
「えっそれがなんでそんな上機嫌に繋がるん？ なんか飯でももろたんか？」
重ねて追及の声が上がる。
ゾムは内心にこみ上げる昂奮を隠さない声色で、言った。
「お隣さん、あの子やった」
「あの子？」
「……いや、ゾムが言うあの子っちゅーことは、だ」
一瞬の沈黙。
彼らの脳裏によぎったのは、ゾムが最近ご執心の、同じ実況者であるらしい女性のことだった。オフ会で偶然知り合って、連絡を取り合っているのだそうだ。
女遊びの激しいゾムは特定の女性に固執することが少ない。そのゾムがちょくちょく話題に出すのだから、珍しいな、と話題になっていたのだが。
……そしてなんや今の声色。
みんなが思う。
具体的に評すなら肉食獣が獲物を見つけたみたいな声色。
「狼の懐に子羊が飛び込んじまった……」
「誰や今の？ まああながち間違ってないしええけど」
「良くねーよ何も良くねーよ」
「えっただの捕食者やんこっわ」
「舌舐めずりの音が聞こえてくるレベルやないの」
「むりむりむりこわいこわいこわい誰かどうにかして」
できるか！ と異口同音に声が揃う。そのバックグラウンドミュージックにゾムの低い哄笑が響いて、彼らの背筋を完璧に凍らせた。
誰か殺したあとの笑い声だよ怖いよー！ 約一名思わず泣き言をこぼしたわけだけれど、それを責める人間がどこにいようか。
やっべーよこいつ早くなんとかしないと。
「あっあいつ帰ってきた音した」
「一瞬で素にテンションが戻るの怖えーしその音を聞き取るのもこわ……」
思わずそんなことをこぼしたトントン。一拍遅れて「……ん？」と怪訝そうにゾムが呟いた声が聞こえた。
「えっなにごめんなさい」
「トントンは許さへんけどその前に妙な予感がするからちょっと離脱するわ」
「あっ許されへんの」
「ま、まあいってら」
いってきま、とゾムが席を立った音を最後に、通話の最中だというのに沈黙が降りる。
やがてグルッペンが呟いた。
「こわ……」
「総統、本音本音。出てる出てる」
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弥兎。(プロフ) - 文の構成だったり、心情表現だったり、全てが好みで読みやすいです。『はい上官』が特に気に入ってます。これからも活動頑張って下さい、影ながら応援させていただきます！ (2019年10月1日 17時) (
レス) id: 029d2a2f18 (このIDを非表示/違反報告)
スギ花粉(プロフ) - 初めまして、こんにちは。 「配信中に〜」のスピンオフ番外目当てで読み始めたのですが、それ以外の作品もとても素敵で気付いたら全部に目を通していました。「そんな夢を見ました」が特に好きです。 素敵な作品をありがとうございます、これからも応援しています。 (2019年8月25日 19時) (レス) id: c38b9cd639 (このIDを非表示/違反報告)
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