11-無視できない ページ11
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「珍しいね、Aから飲みに行こって誘ってくるなんてさ」
「うん、愛ちゃんと話したい気分だったから」
「なんかあった?」
「……ううん、何も。てか早く飲も!今日はたくさん飲みたい気分なの」
「……そっか、じゃあ思い切り飲もう!」
散々泣いて、泣くのは久し振りというわけでもないのに、涙が枯れるくらい泣いて。目の腫れをホットタオルで癒やしたり、化粧でどうにか誤魔化して出勤した。
胸が引き裂かれるような想いを抱えて夜を乗り越えても、すぐに無責任な朝がやってきて、いつも通りの日常が始まる。
立ち止まってる暇なんかない。
定時で仕事を終え、残業をすることもなく引き上げ、同僚の愛ちゃんを飲み屋に誘った。
移動中、ここ最近で1番寒くて、白い息を吐きながらマフラーを巻いた。
「今日、今年で1番冷え込むらしいよ」と教えてくれた愛ちゃんに相槌を打ちつつ、そういえば今朝は天気予報を見る暇もなかったなあと思い返す。マフラーを持ってきておいてよかった。
そういえば、あの日もすっごく冷え込んでいたっけ。
マフラー持ってきてよかったなって今みたいに感じながら帰って、そしたら____家の前で悟くんが待っていた。
…
まさか、ね。とある予感が頭を過ぎる。
まさか、今日も待っていたり……しないよね。
だってもう家には来るなって言ったし。
いやでも口で言われただけですんなりと従うような人でもないし……。でもでも、昨日の今日でそんな会いに来る?気まずくは、……ないのかな、あの男は。
ああもう、思考がごちゃごちゃして落ち着かない。
もう無視だ無視!
悟くんのことは考えない!
そう決意してお店で飲み始めたものの、私は5分に1回のペースでスマホで時計を確認してしまう。
「A、なんか用事でもあるの?」
「っえ、いや、」
「用事あるんなら帰っても大丈夫だよ?雪降ってきたら帰れなくなっちゃうし」
「ゆ、き?」
「うん。夜から降り始めるかもしれないってニュースでやってたよ。もし用事ないんなら明日休みだし、私の家近いから泊まってってもいいけど」
悟くん、さすがに来てるわけないよね……?
そうだ、来るわけないと自分に言い聞かせ、「じゃあ泊まりたい」と言おうとした刹那。
スマホに一件のメッセージが届いた。
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ももか(プロフ) - 自分に引くほど、めっちゃニヤニヤしながら読んでました……最高すぎました!!これからも頑張ってください!!!!!! (2021年2月21日 20時) (レス) id: 962a75c0d9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - あおいさん» 文章褒められるとめちゃくちゃ嬉しいですー!( ; ; )こちらこそ、お読みくださり本当にありがとうございました!! (2021年2月10日 17時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 語彙力の塊すぎて…素晴らしい作品をありがとうございました! (2021年2月8日 0時) (レス) id: c6e7ce5294 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» めっっちゃ面白かったなんて光栄です…(^^) 暖かいコメント嬉しいです!最後までお読みくださりありがとうございました! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 輪廻@サブ垢なのだー!さん» 完結後もお会いできて嬉しいですー!( ; ; )暖かいお言葉を貰えて本当に嬉しかったです…!今次の作品を考えているところです。最後までお読みくださりありがとうございました! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年1月26日 17時