サメ妹と鯨 (ページ20)

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焦りは禁物ページ20

翌日。

Aはまたいつもの本屋に来ていた。

「(見つからない。やっぱり異世界からきた人間なんてそうそう存在するわけないですよね。)はぁ。」

どうにも帰る算段がつかず先が思いやられる。
寂しい気持ちと焦りで不安が募っていってしまいます。

「ダメです。焦りは禁物、そう言ってたではないですか。落ちつて、大丈夫。必ず見つかりますから。」

店内にある椅子に腰掛け唱えるように小声で自分に言い聞かせていれば昨日からよく聞く声が語りかけてきました。

マ「何が見つかるんだよい。」
「はぁ、またあなたですか。言っときますが私を警戒しても何もないですよ。あなた方が何もしなければですが。」

少しびっくりした顔をしていますね。
私が気づいていないと思ったんでしょうか？

マ「別にそういうつもりはねぇよい。俺はこの本屋に用があってきたんだ。」

「あぁそうですか。じゃぁ私はこれで。」

スっと立ち上がりその場を離れようとします。
知らない人が横にいるって、ソワソワしちゃいません？

そしてここの本屋だけでは知識にやはり限界があります。
これはこの島を出て帰る方法を探した方がいいかもしれません。

マ「待つよい」

人が珍しくピリピリしている時に。
なんなんでしょう？気安く私の腕を握って止めてくるこのパイナップルは。

輪切りにして缶詰に入れてやりましょうか？

「なんですか。私、忙しいのですが。」
マ「お前さん今日休みだろ？さっき店のおばちゃんから聞いたよい」

おば様、なんて余計な事を…

「休みだったらなんだって言うんです？手、離してください。レディの腕を気安く掴むなんて失礼ですよ。」

マ「あぁ、悪かったよい。そんな怒んなって。ちょっと付き合ってほしい買い物があるんだが、いいか？」

はぁ？なんで私がですか？

「はぁ？なんで私がですか？」

あ、心の声が。