09：夏祭りと箱の中 ページ11
またあの夢を見た。
──夏祭りの帰りと、寂れた駅の迎えの光。
ああ。忘れるはずもない。懐かしい出来事……と思いたかった最後の記憶。
夏祭りの終わり。いつもと同じ過去の記憶の夢なのに、今日のこれはちょっと違ってた。
誰も居ないはずの駅の寂れた線路の向こうから、色が上手く認識出来ない猫がひょろりと現れたのだ。──あれ、猫なんて居たっけ。ああ。僕は相当シュレディンガーを気にしてるんだと。だから夢に反映されてると自己完結した。
だがそうなると本当にこれが記憶だか妄想だかわかりゃあしないと不安になる。ちらっと横見ると君の変わらない横顔。線路の向こうから向かってくる、あの光。君の横がが照らされて鼻先の影が頬に落ちる。
もしこれが僕の勝手な妄想であるなら。
光が迎えに来た。──会話をすませて、親戚のところに行くとかデパートの近くとか、なんかそんな会話。
そして君はやっぱり去ろうとする。僕は、そんな君の手をとっさに取ってしまった。”あの時”と違う行動を起こした。君が驚いてこっちを見る。僕も驚いてる。思い出を改変するようで──いやただ僕が満足するためだけの夢を見るために。
シュレディンガー？ 世界線？ パラレルワールド？ 君にそれが言えない世界があの時なら、夢の中くらいなら、なあ世界を越えさせてくれよ。
「行くなよ」
だって──これが”最後”なんだぜ。
想像よりずっと小さな声になってしまった。僕が思わず君の手を力いっぱい握りながら、そう言った。君の顔に靄が掛かったみたいになる。違う、僕が泣いてるからだ。うえっと情けない声が鼻から出る。君のいた思い出の中を僕はずっとさ迷ってて、みんなが道を示すのだが、僕は見ないふりして箱を観察してた。
でも、でも、でも。君は絶対電車に乗るのだ。
そしてこの電車は──目的の場所に到着することは無い。僕はそれを知っている。
「最後なのね？」
君は凄く落ち着いていた。笑ってる？ 泣いてる？ もう上手く分からないが、でも君は酷く冷静だった。
「ねえ、」
──涙が散った。涙だけじゃなくて、すごい音ともに目の前に火花が散ったのだ。夏祭りで見たあの綺麗な花火とは訳が違う。めりっとか、ごん！ とか。そんな音だ。
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びぃ(プロフ) - #よにん。＠str48＆変人系カップルさん» お返事遅れてしまい申し訳ありません！完結までお付き合い下さり本当にありがとうございました……！！！m(*_ _)m (2020年8月29日 19時) (
レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠str48＆変人系カップル(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2020年8月19日 20時) (レス) id: ac2334f46f (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - 「 」さん» お返事遅くなりました！ありがとうございます…！駆け足最速乱文であったにも関わらず最後まで御付き合い下さり感謝しかありません…！！ (2020年8月19日 12時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - ご完結おめでとうございます。素敵な作品で、ついつい見入ってしまいました。ありがとうございました！！！ (2020年8月13日 8時) (レス) id: e81c17c75a (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠str48＆変人系カップル(プロフ) - びぃさん» 返信ありがとうございます！通知は全然大丈夫なんですが...体調が心配だなあと感じておりまして。。。無理をしていないのなら良かったです... (2020年8月13日 5時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びぃ | 作成日時：2020年8月10日 18時
