兄を求めて 36 ページ38
オスマンside
shas「...今のオスマンさんは、私の知るオスマンさんではない...!!!」
シャスはそう叫ぶと、彼女のクリスタルがけたたましく光った。
shas「...嗚呼、そうか...オスマンさんが兄なのか...」
...どういうことだ。
shas「クリスタルはな、時折ヒントを与えてくれるのだ。このように光って、光で示してくれる」
shas「私は、貴方が兄だということが分かれば良い。出会ったことが、私の望みだ。もうこれで、使命は果たされたんだ」
そう言ったシャスは、クリスタルを自らの手で肌身から離す。
shas「っ、はぁっ、ふ...」
『...シャ、ス...?』
シャスの呼吸が荒くなり、光が強くなると同時に彼女は大きな声で叫んだ。
狼が闇夜を駆けるように、鳴いた。
クリスタルは空に光の柱をたて、迸る。
クリスタルは散り散りになり、光が無くなると同時にパラパラと消える。
シャスは目の前でガクンと膝をつき、口元から血を吐く。
...目の前で、何が起こっているのか分からない。
でも、命の危機があるのは分かる。
屋上にばたりと倒れたシャスに俺は駆け寄り、体を支える。
shas「...オスマンさん、いや...兄様...、私は、幸せであった...生きることを諦めなくて、良かったと、思えた...」
『...』
shas「...父も母も、亡くなったこの世界に、兄様がいてくれて、良かった...」
『...俺は、俺は...!』
shas「...それ以上は、何も言うな。...『ごめんなさい』なんて、死に間際に聞きたくない」
shas「...『離れていても、覚えていてくれますか』...?」
シャスはそう言って、目尻に涙を浮かべた。
『...勿論、勿論忘れやせん...!』
彼女は目を閉じて、最後の言葉を言おうとしたところで、顔色が蒼白としてくる。
『...こんな兄で、ごめんな、シャス...!!』
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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時