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「いやー。いい湯だねー」
『・・・ねぇ、神威』
「ん?」
『何で一緒にお風呂に入ってるの』
「ここが露天風呂だから」
少し怒っている○○に、神威は鼻歌混じりで答えた。
神威と○○は結婚して一か月の新婚。今日○○は、「地球に用事があるから、終わったら二人で温泉に行こう!」と神威に誘われ、こうして二人で温泉宿に来た。
浴室への出入り口はちゃんと男女別になって、そこから脱衣所、多種多様の浴室、そして○○は露天風呂へとやって来た。入る前、周りに混浴かどうか書いてないか一応確認はしたつもりなのだが・・・。見落としてしまっただろうか?
『ここ、混浴って書いてなかったと思うんだけど?』
「あぁ。事前に、ここの人に取り払ってもらったんだ。○○が警戒しないで、この露天風呂に来られるように。ついでに人払いもしたから、この時間帯はイチャイチャし放題だよ」
どこから突っ込もうか頭を悩ませる○○の腰を、神威はグッと抱き寄せた。
「そういえば、ここの温泉何で柚を浮かばせてるんだろ?」
それは昨日ネットニュースで観た。地球の日本では、冬至に柚を入れて入浴するのだそうだ。その理由は、柚湯に入れば風邪を引かない。と言われているようだ。
『それはね・・・』
「これ食べていいのかな?」
そう言うや否や、神威は一つ掴んでむぐっと口に含んでしまった。
「・・・んー。あんまり美味しくないや」
『これは食べる用じゃないの!』
美味しくない、とポイッと後ろへ投げ捨てられた柚はコロンと床に転がった。
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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年12月18日 19時