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(まだかな、まだかな)

その日、○○は自室にてウロウロと行ったり来たりと、落ち着きなく動き回っていた。

今日は、いつも船内に居るだけなので、気分転換も兼ねて、地球での買い物がしたいと神威に頼んでみた。すると神威は自分が同行するという条件付きで、承諾してくれた。しかし、予定帰還時間を5時間も過ぎても、神威は一向に帰って来ない。

『〜もう待てない!』

我慢の限界だ。動き回っていた足を止め、ドアを見つめる。○○は神威に内緒で、一人で地球に行ってしまおうかと考えた。意を決しドアへと足を向けた瞬間、ガチャリとドアが開き神威が入って来た。

「ごめん!遅くなった!」

『団長、遅い!』

息を乱し髪も乱れている様子は、急いで来てくれた事を感じさせ、これ以上怒る気は失せてしまった。

「仕事が長引いちゃったんだ・・・」

『もういいですよ。それより、早く行きましょう?』

「うん。そうだね」









こうして神威と○○は地球へとやって来た。お待ちかねの地球で、○○の気分は上々!・・・に、なる予定だった。

『神様のドSーーー!!いじめっこーーー!!』

○○は、小型船の窓に向かって雄叫びを上げた。窓から見える景色は、真っ黒な空に、強風、暴雨。これでは、買い物どころではない。

「ありゃりゃ。これは凄い。台風上陸中かな?」

『台風なんて・・・くそくらえ』

○○は体育座りをして、ふて腐れる。

「こら。女の子が、そんな事を言うもんじゃないよ。残念だけど、今日は諦めて帰ろう?」

神威の言う通り、外に出れないのであれば帰るしかないだろう。○○は諦めてコクリと頷き、立ち上がった。その時、外が一瞬明るくなったと思うと、すぐにゴロゴロと大きく鳴り響いた。近くに雷が落ちたようだ。

『ギャアー!』

「っ!?」

○○は雷に驚いて、神威に抱き付いた。

「・・・○○、女の子でしょ?もっと可愛く叫べないの?全然色気ないんだけど」

口では腹の立つ事を言っているのに、小刻みに震える○○の体を抱き締め、背中を優しく撫でてくれる神威に○○は心が温かくなった。

『・・・余計なお世話です』









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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年12月10日 18時

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