【黒子のバスケ】君の百面相〈紫原敦〉 (ページ1)

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君の百面相１ページ1

『はぁ～～』

夏の日の放課後。恋人と待ち合わせをしている昇降口で、○○は幸せな溜息を吐いた。何故幸せな溜息を吐いたかと言うと、実は今日の日中、大好きな紫原敦から告白をされたのだ。自分の片想いと思っていた為、両想いだったとわかり今日からは紫原が彼氏だという事が、本当に幸せだ。

『・・・フフフッ』

おかげでこの有り様。ニヤけが止まらない。昇降口で待っている為、時折通りすがる生徒に怪しげだと視線を向けられるが、本人はそれに気付いていない。

『でも、本当に私でいいのかなぁ・・・？』

ふと、不安になる。自分よりも可愛い子なんて沢山居る。その誰かを好きになってもおかしくなかったのに・・・。

『・・・・・・・』

そんな事を考えてしまい、胸がキュウゥゥッと痛くなった。紫原の隣に誰か別の女の子が居る。それで、二人幸せそうに笑い合っている姿を想像して・・・。

『・・・泣きたくなる』

「え～？泣かないでよ～」

一人で勝手に落ち込み、両手で胸を抑えてジワリと目に涙を溜めていた所、のんびりとした声にハッと我に返る。そこに待っていた紫原が居て、直ぐ近くまで距離を詰められると、大きな手の平に両頬を包み込まれて上を向けさせられた。

「アララ。もう涙目になってんじゃん。誰に泣かされたの？」

○○の涙目を見て、紫原の雰囲気が一気に不穏なものへと変わる。

『ち、違うの！これは私が勝手に妄想して・・』

そう言うと「妄想？」と紫原が首を傾げて、その先の言葉を促した。

『もし、紫原君が私じゃなくて、別の可愛い子を好きになったらヤダなって・・・』

紫原がまだ頬から両手を離してくれない為、恥ずかしいと頬染めて言いながら、視線だけは紫原から逸らす。

「・・・プ。ははっ。何それ～」

・・・声を出して笑われてしまった。

『そんなに笑わなくても・・・っ』

ムッと頬を膨らませる○○に、紫原は笑うのを止め、優しく頭を撫でた。

「ごめん。でも、告白したその日にそんな事を考えるなんて。○○ちん、おバカ～」

紫原のこの発言に、更に○○の頬は膨れる。その頬を軽く突きながら、紫原は続けた。

「もしかして、さっきからの百面相はオレの事を考えてたとか～？」

『ひゃ・・・百面相って・・・』

「笑ったり、泣いたり・・・」

ちょっと待て。紫原が現れたのは、○○が泣きそうになると言った所からだ。笑ったり・・・という事は、その前から○○をこっそり見ていた事になる。