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今日○○は神威と共に、大きな旅館に来ていた。日はもう既に沈み、空には満月が輝いている。

泊まった部屋は、この旅館で一番広い和室。その部屋の真ん中に、1つだけ布団が敷いてある。

入浴を済ませ浴衣に着替えた○○は、疲れた体を休める為先に布団の中へ潜り込む。









『・・・・・・・』

あれからそんなに時間は経っていない。しかし、何か異変を感じた○○は、眠りから覚め、目を開ける。

『・・・!?』

「・・・・・・・・」

何故ここに彼がいるのだろう。

○○の上を跨り、○○を見下ろしているのは銀時だった。いつ、どうしてここに来たのだろう。ここは地球ではない。宇宙にある惑星だ。

銀時が何故自分の上にいるのかとか、どうやってここに来たのかとか聞きたい事がありすぎる。どれから聞けばいいのか困っている○○は、銀時を見つめながらゆっくりと口を動かす。

ガラッ。

勢いよく開いた障子の音に、銀時と○○は振り返る。

「・・・・・・・」

そこに立っていたのは神威。張り付いた笑みでこちらを見ている。

この空間に訪れる一瞬の沈黙。『神威!』と呼ぼうとしたが、立っているはずの場所に神威はいなかった。

今度はドン!という音が自分の目の前で起き、見ると神威は銀時を蹴り飛ばしていた。外にもある廊下の方に飛んだ銀時を神威は追う。神威の攻撃はまだ続く。

こんなところでじっとしていられない。○○もすぐに外の廊下の方へ駆けて行く。

○○が様子を見に行った時には、銀時は既に頭から下まで血まみれだった。それでも銀時は木刀を神威に向け、立ち続けている。

「・・・!○○!無事か!?」

様子を見に来た○○に気づいた銀時は、慌ててこちらに駆け寄る。

自分は何もされていないのだから、無事に決まっている。銀時の言った台詞をそのまま返してやりたい。

○○から引き離すように、神威は銀時の後ろから服を掴み、後ろへと投げ飛ばす。そして満月を背に、神威はゆっくりと銀時へと近づいて行き、銀時に何かを話す。

(何て言ってるの?)

すごく小声で言っているのだろうか。神威が何て言っているのか聞き取れない。

「今からすごい事言ってあげる」

ようやく聞き取れたのは、ここから。神威は張り付いた笑みのまま、そう銀時に言った。

(すごい事?)

この状況で神威が何と言うのか。○○は一つの台詞しか思い浮かばない。

―殺しちゃうぞ―

これだろう。と思ったのだが、神威が言ったのは別の台詞。

「許しちゃうぞ」

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作者名:桜輝 | 作成日時:2020年10月31日 8時

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