レイニーデイ2 【影山飛雄】

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移り行く景色。
見慣れて居るはずのそれを、
どこか客観的に見つめているような気分になった。


バスから降りて、地に足をつける。
多少の日向君絡みのアクシデントはあったものの、なんとか無事到着した。
当の本人は、かなり緊張した面持ちで、
今もトイレに行ったきり帰ってきていない。


ふと前方を見やれば、かつてのクラスメイトが歩いてきた。
途端に周囲は不穏な空気を醸し出し、
田中さんと月島君が威嚇するなんて事態に発展して焦った。


「潮崎じゃん。」
「金田一君」
「お前、本当にマネージャーやってんのな、」
「なんとか続いてるよ。」


「影山大人しくなった？」
「そう？」
「おう。」
「でも彼、良い人だよ。」
「……進展したのかよ、」
「話せるようにはなったし、メールだってする。」


まだその程度かよ、と呆れた顔をされた。


「し、仕方ないじゃん！」
「まあ相手が相手だしな、」
「ライバルだっているんだよ？」
「彼奴のこと好きって奴が、他にもいるって？」
「うん」
「とんだモノ好きが多いみてーだな、」
「失礼極まりないね！」


「でもあれだな、
お前、王様のこと話してる時、楽しそうだな。」


校舎の玄関の前に立つ。
靴を脱いで、青城の床を踏んだ。
廊下は放課後の所為か、人気もなくひっそりとしていた。


「おい」


そんな静まり返った中に、荒げた声が響いた。
ゆっくりと振り返れば、影山君がいらっしゃった。
何にしろ、つい先ほどまで彼の話をしていたところだから、
その話を聞かれているまいかと酷く冷や汗をかいた。


「潮崎さん、」


ずんずんと近づいて来て、私の腕を掴む。
その温もりは思ったよりも暖かくて、
その手が今からあのトスを上げると思うとどこか愛おしく感じて、
一気に紅潮してしまった。


「行きましょう」


ぐいぐい私の腕を引っ張り、廊下を進んで行く。
後ろを見やれば、金田一君が笑いながら手を振っていたので、
少しだけ微笑でおいた。
その隣にはセンター分けの生徒がいた。


「何笑ってんスか」
「笑ってないよ」
「何が面白いんスか」
「何でもないよ」
「アンタ、あんなに金田一と仲良かったんスね」
「いや、全然」


「だって、俺と喋る時より明らかに口数多かっただろ、」


身体の火照る音がする。
鼓動が早まる音がする。


心なしか、君の耳元も紅い気がした。
黒の髪で隠れて、あまりよく見えなかったけれど。


『似たり寄ったりの日』

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