12月23日 PM3:20_ ページ11
キドside
どうやら俺たちが一番最初にマリーの家に着いたようだ。部屋には誰もいなくて静寂だけがただ広がっていた。
誰があんなことを。アジトもバレているなら俺たちに居場所はもうない。真犯人を見つけたところで警察は聞く耳を持ってくれるのだろうか。
なんで、なんで、なんで…
目の奥が熱くなり目の前が滲んだ。握り締めた手を机に打ち付けた。
「なっんで、俺たちがこんな目に遭うんだよ。ただ、生きてただけじゃないか。おかしいだろ。なんで、なんで、こんなことができるの?」
むごすぎるよ…そう呟いた時、カノに抱きしめられた。大丈夫だから。呪文のように繰り返された言葉に俺は縋りついた。
「キド、きっと大丈夫だよ。明日になったらきっと元通り。夏の時もそうだったじゃん。ね?」
だから抱え込まないで。そう告げられて、俺はひさしぶりにガキの頃のように、わんわん泣きじゃくった。
ほとぼりが冷めた頃、扉を控えめにノックする音が聞こえた後、乱雑に開けられた。立っていたのはコノハで、マリーはいわゆるお姫さまだっこをされている。
「キドッッ」
地面に降り立つとすぐにマリーは俺にしがみついて泣き出した。コノハは入口に凭れて空を見上げていた。
「コノハ、ありがとうな。」
「仲間だからね。キドさん、きっと大丈夫だよ。」
彼は優しげな顔で微笑むとまたもや目を空に向けた。
「天気、崩れるね。」
そう呟いた彼の目も寂しそうだった。
その後、セトもシンタローもやってきた。
バイトを始めても体力がないのは健在なようで、シンタローはセトに背負われていた。
「ご主人、だっさーい」
ぷくくと笑いながらそう言ったエネに反論する余裕すらないようだ。
「シンタロー、お疲れ様。」
コノハがそう言うと、息も絶えだえにありがとうと呟いた。セトはマリーを宥めていて、カノはそれをはやし立てている。
そろそろ始めるか。一刻も早く日常に戻るために。
「全員揃ったか。始めるぞ。」
その一言で場の空気が変わった。
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作者名:零月 | 作成日時:2015年9月8日 23時