. ページ11
.
『私とマークくんが、一緒に帰ってたこと、知ってたの？』
「そりゃアイツに嫌ってほど聞いてるからね」
階段をのぼり切った先にあった屋上の扉を開け、そこに私を押し込んだジョンウくんはドアから顔を覗かせて、
｢おーい、イマーク！２人とも保健室って言っておくから、しばらく帰ってこないでよー！｣と声を張り上げてドアを閉めてしまった。
それと同時に給水塔の陰から出てきたのは、ジョンウくんに名前を呼ばれていたマークくん。
｢あー、.....まじでジョンウあいつ、｣と小さく呟いているのが聞こえて。
そして、私を見下ろしたマークくんは大きく息を吐いた。
すっと伸びてきた腕に目を瞑れば、指の腹で目尻を優しく撫でられる。
ふと目を開けると真正面にマークくんの顔。
「泣いた跡、」
『え、あっ』
「ごめん、俺のせいだ」
ちがう、違うよ。
眉を下げた彼のシャツの裾をぎゅっと掴む。
驚いたように目を見開くマークくんがなにか言う前に、慌てて口を開いた。
『マークくんのせいじゃないよ』
じわじわと滲んできた涙が零れないように、ぐっと堪える。
『もう一緒に帰れないって、.........迷惑かけちゃったから、嫌われたって思ったら、その、』
ぽたり、と涙が零れ出る。
頬を伝う涙を拭おうとした手を掴まれ、代わりに彼の指が私の頬を撫でた。
「あのさ、」
困ったように笑って私の顔を覗き込むマークくん。
きゅうっと胸が締め付けられた。
「そんなこと言われたら、自惚れちゃうんだけど」
ああ、やっぱり私、マークくんが好きだ。
「A、」
『っ、！』
「....あー正直、なんていうか、」
「これからは、たまにじゃなくて、ずっと一緒に帰ってくれると嬉しい」
うそ、と彼の顔を見つめて小さく声にする。
ぎゅっとシャツを掴む手の力を思わず強くすれば、その上から大きな手に包まれた。
『ほんとに、いいの？』
「もちろん」
『嫌じゃ、ないの？』
「なんで俺が嫌がるんだよ」
１本１本、指を絡め取られる。
｢あー、そんな泣くなって、｣と困ったように笑うマークくんになんとか頷いて。
『好き、好きだよ、マークくん』
と小さく呟いた私の声は、確かに彼の耳に届いたようで、
ぶわって耳まで赤くした彼がガシガシと頭を掻く。
｢あーもう、..........そういうの、先に言うなよ馬鹿、！｣
ふわり、と大きな身体に包まれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベニ(プロフ) - パピ子さん» わ！ありがとうございます〜！2も出来ましたので、また読んでいただけると嬉しいです🥰 (2022年12月29日 22時) (
レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
パピ子(プロフ) - やったぁー٩(●˙▽˙●)۶Part2楽しみにしてます！！ (2022年12月29日 0時) (レス) @page48 id: 504443380d (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - jenさん» なんと嬉しいお言葉、ありがとうございます🥹親子シリーズ、ありですね...笑 ほかのメンバーのお話もぜひ書きたいと思いますので、気長にお待ちください〜！ (2022年12月28日 13時) (レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
jen(プロフ) - こんばんは…！いつも楽しく読ませていただいています 甘い…甘くてヘナヘナです｡:.ﾟஐ⋆*･:*ジェノくんステキ！ドリムちゃんたちみんな見てみたいです (2022年12月28日 0時) (レス) @page46 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - るんるさん» ありがとうございます...！来年のクリスマスのご予約ですね？笑 ご期待に添えるようにがんばります🥰 (2022年12月26日 22時) (レス) id: e864c7390a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベニ | 作成日時：2022年11月30日 18時
