第一章 月は満ち欠けを繰り返し、光の色へと染まりゆく

標的35　「体操服を借りに行く」 ページ37

『で、マジで風紀委員なわけですか』
「別に仕事はしなくていいよ。でも僕が呼んだら来てね」
『それってパシリか雑用係じゃなくて？』

因みに、申請は出してるからと言われてしまっては泣き寝入りをするしかない。
正式な書類を出した後では、俺にはどうすることもできません。
幸い委員長様も仕事はしなくていいという事なので、幽霊部員ならぬ幽霊委員になってやる。心に決めました。
そのとき、二時間目終了のチャイムが鳴った。二時間目だぜ？




なんとか三時間目からは授業に出る許可を頂きました。
いや、普通は許可なんて貰わなくていいだろうけどね。恭弥は貰わないと後々怖いです。
二時間目は移動教室だったらしく、教室に入っても誰もいない。授業が長引いてるのかな？
取りあえず席に座っていると、
教室のドアがガラガラガラと開いた。入ってきたのはツナ。

「あ、Aちゃん今日来てたんだ」
『ちょっといろいろあってな。皆どこ行ったんだ？』
「え、ああそうか。昨日の午後いなかったよね。今日の三時間目は体育だよ」
『へ？』

今日体育あんの？
待って待って聞いてない。

「みんな移動教室から真っ直ぐ更衣室に行っちゃって……俺はシューズを忘れたから取りに来たんだけど……Aちゃん？」
『恭弥ぁぁぁぁああぁぁぁぁあ！！体操服ぅぅぅぅぅううう！！！』




またまた応接室なう。

『というわけで体操服の予備とかある？』
「無いことは無いけど…まあいいや。貸してあげる」
『さんきゅ。助かったぁ……』

で、受け取ったのはいいけども。
大問題が転がってる。

『コレ、お前の？』
「うん」
『今日体育ないのか？』
「使わない。というか授業に出ない」
『ああ、そうっすか』

ズボンに刺繍で思いっきり雲雀って書いてあるけど……まぁ他の人の名前なら兎も角、恭弥の名前ならなんにも言われない筈。
ちょっと待ってて、と言って彼が出ていったので、その隙に着替える。
時計を見れば休み時間終了まであと五分。

「はい、これも」
『これは？』
「体育館用のシューズ。それと外靴」
『用意良すぎ』
「全部僕のお古ね。いらないからそれはあげるよ」
『俺も持ってる……いや、ありがたく貰っておく。お前のだと足速くなりそう』
「ククッ、君やっぱ面白い」
『………』

恭弥が…笑った、だと！？
ぎゃああああ！！お前イケメンだとは思ってたけど、キラースマイルやめろ！！
心臓に悪い！！

「どうしたの？顔赤いけど」
『なっ、なんでもない！』
「そう？」

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