第漆幕、戦国時代に飛んだ元一般ピーポーは最強のさすらい人らしいです。 (ページ28)

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第三百十二戦目　貴「馬に蹴られないように」ページ28

で、俺の思いが通じたのかどうかは知りませんが。

幸村「な・・・ならば、今から庭にでも」

鈴花「いいのですか！？」

幸村「しかし、ひとまずはお館様に」

聞かねば、と幸村が言おうとしたときであった。
スパーンと扉が開き、その先から・・・

信玄「行ってよぉぉぉぉし！！」

貴「アレ！？」

さっきまで俺らと一緒に居た信玄様が何故か向こう側にいる。
いやいや、速すぎるでしょうよ。忍者超えたんじゃね？
小太郎といい勝負するかもね☆

貴「なー小太郎」

風魔「？」

佐助「あ、二人とも外行くみたいだね」

信玄さんに許可されたからか、ぎこちない感じを残しながらも外へと出て行く二人組。
勿論、野次馬としましては尾行するしかない。

貴「よっしゃ小太郎行くぞ！！」

風魔「！」

佐助「馬に蹴られても本望！！」

という事で屋根の上なう。
信玄さんはあの後どこかに行ってしまった。
ので、屋根の上には俺と小太郎とオカンだけ。

佐助「オカンじゃないってば！」

貴「なんで心を読んだんだよ！」

風魔「・・・・(ｼｰ」

二人「はい」

口に人差し指を当てて静かに、と合図した小太郎に仲良く返事。
くっそぉ・・・小太郎今の反則だよ。可愛すぎだから。
頑張れ俺の理性。今叫んだらばれるぞ。
まぁ、幸村は俺らが覗いてんの知ってるだろうけど、相手の姫さんがね、知らないだろうから。

貴「さて・・・あとは上手いとこ引っ付いてくれれば万々歳」

佐助「引っ付かなくても少し仲良くなれば御の字かな」

風魔「・・・・・・」

コイツ等酷いな・・・と言ったような目をしている小太郎君は知らん。
そんなこと言ってる間にもカッチンコッチンのお二方はギクシャクしながらも歩く。
うん、初々しくていいですね☆

幸村「すっ、鈴花殿！梅の花が一つ咲いているでござる！」

鈴花「え・・・あ、本当ですね、とてもきれいです」

季節は初春。
確かに幸村が指差す先には梅の花が一つだけ、いまだに少し冷たい風に吹かれている。
もうそんな季節ですか～と、この場には全く関係ない事を考える。

幸村「もっ、もうじき満開になるでござろうな」

鈴花「そっ・・・そうですね」

幸村「絶対きれいでござる」

鈴花「・・・・・きっと」

幸村「？」

鈴花「きっとその頃には」

お？おおおっ！？これは？これはこれはもしかして！？
野次馬三人衆の手に力が篭る。普通なら男から言うのがセオリーだが、幸村だから贅沢は言ってられない！←オイ