･ ページ28
Yoohei side
_
『それで、できるだけ早めにお渡ししたいんですけど
いつが空いてます？』
脱線した話の軌道を戻して
また彼女が話し始める。
んー、まだ書き終わってない曲のレコーディングとか
未定の仕事が多いからなー。
「んー、じゃあ連絡先交換する？」
『はい？』
「ん？」
当然のように聞いた俺に
Aちゃんは眉をひそめた。
「ふはっ、そんな顔しないでよ笑」
『え、か、川上洋平さんの連絡先なんていただけませんよ、』
「だって予定がまだ定まってないからさ、
Aちゃんも毎日お店いるわけじゃないんでしょ？
じゃあ交換するしかなくない？」
『楽器の返却なら他の店員でも、』
「違う、Aちゃんに会えないと意味ないの。」
ワタワタとしていた彼女の動きがぴたりと止まる。
「だからさ、連絡先頂戴？」
『は、い、分かりました。』
ぱちぱちとまばたきを繰り返して
斜め下へと視線を落としながらやっと貰えた承諾に、
内心胸を踊らせながら連絡先を交換した。
「俺の予定も決まり次第教えるから
Aちゃんがいる日も教えて？」
『はい、』
俺の連絡先が自分の携帯に登録されたことが
未だに実感できないのか、
口元に手を起きながら怪訝な顔で画面を見つめる。
そんな可愛らしい姿に軽いイタズラがしたくなって
とりもちのスタンプを送った。
『あ、とりもち！』
意外にもとりもちを知っていた彼女は
俺が予想していたリアクションはしてくれずに
送ったスタンプを見て満足気に笑う。
『じゃあ私からもお返しで。』
そう言った彼女からは
俺らのバンドのスタンプが送られてきた。
「あ、俺らのじゃん！」
『ふふ、まーくん目当てで買ったんですよー。』
イタズラのつもりで送ったスタンプのおかげか、
連絡先の交換について
あまり芳しく思えていなさそうだった彼女の顔つきが
少し柔らかく解れていた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まぬん(プロフ) - こちらこそありがとうございます！頑張ってください！！ (2月13日 1時) (
レス) id: e77305bd37 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ないです。更新頑張ります！ (1月10日 22時) (レス) id: 0868a1dc49 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - いつも楽しみに読んでます！！更新頑張ってください🙇♀️ (1月4日 3時) (レス) id: e77305bd37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏 | 作成日時：2023年8月22日 22時
