ショコラとバニラは知っている

スイーツが19個 ページ19

彩side


そう言ったバニラムーンの手には
兎の像がしっかりと手に握られていた。

あんまり、強く握らないでね。
壊れちゃうから。

「お疲れ…っ！」

しまった！


バニラムーンに手を振ろうとすると
身動きが取れなくなった。

茨木満が私の動きを腕で封印したのだ。
首にはナイフが当てられている。
少しでも衝撃を加えたら首にグサっと行きそうだ

茨木満の気配を感じられなかった。
どうしよう。

「おい、バニラムーン。お前の仲間は人質だ
仲間を殺されたくなかったらその像をその場に置け」

茨木は、私を人質にしたまま
バニラムーンに言った。

バニラムーンは私と兎の像を見た。
バニラムーンの額には汗が浮かんでいる。

バニラムーンはきっと兎の像を床に置き茨木に
渡すだろう
なにせ仲間の、私の命がかかっているのだから。

バニラムーンは私の予想通り床に兎の像を置こうと
した。


ダメだよ、バニラムーン。

兎の像を茨木に渡しちゃあ
ちゃんと小塚君に渡さないと。
小塚君の大事な物なんだよ。

私のことはほっといて行って
外にいる
小塚君に兎の像を渡してあげて。

ね？

私は自分でなんとかするから、さ。

私はバニラムーンにそう目で伝えた。

バニラムーンは兎の像を床に置こうとする手を止めた。

『でも…私はショコラムーンの命の方が大切だよ。
この兎の像より。」

と目で訴えてきた。

そうかもね。

たしかに人の命は物より大切。

でもね。
私は大丈夫だよ。

私を信じて

私は死なないよ。こんなところで、
まだまだ大切な物を取られて困っている人が
たくさんいる。
私達の、バニラムーンの助けを待っている人がいる

だからこんなことでは死なないよ。私を信じて行って、ね？

バニラムーンは私の目を見て

『わかった信じてる』

頷いてその場を去った。

ふう。

さてと

私も頑張りますか。

「ふん。可哀想に
お前のお仲間は裏切ったようだな…
どうやら今日がお前の命日のようだな」

と茨木はバニラムーンが去って行った方向を見て
笑った。

「べつにバニラムーンは私を裏切ったわけじゃないよ。」

私も茨木と同じように笑った

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