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誰もいない屋上。
あの日から、考え事をするのが多くなった。
元々、Valkyrieの専属プロデューサーだった私。
Valkyrieの専属を解雇された私は、夢ノ咲学院にいる意味はあるのだろうか…？
『呆気なかったな…』
もう、逃げない！なんて意気込んで戻ってきたものの、
私の言葉が切っ掛けで終わってしまった。
私の初恋。
大好きだったValkyrie。
彼らは私の人生そのものだった。
一瞬だった。
たった一瞬で手放してしまった。
「もう、辞めてしまおうか」
『…へ…？』
「そう思っているのだろう？」
振り向くと、ドアの前に立っている天祥院がいた。
この人は、いつもタイミングよく現れる。毎回、嫌なことが起きた後だけど。
「結論を急いではいけないよ。今日は君に相談があるんだ」
『…なに？』
「君に、fineのプロデュースを頼みたいんだ」
『私が？』
「以前から頼みたかったのだが、斎宮くんの手前言い出せなくてね。でも今の君なら問題ないだろう？」
『なんで私なの？』
「Valkyrieにライブ対決を挑もうと思ってるんだ」
『！？』
話が見えない。今、fineがValkyrieと戦う理由はないはず。
この二組のライブ対決は二回目だ。もしかして、またValkyrieを潰そうとしてるの？
『悪いけど、私はValkyrieと戦う気はない』
「なにか勘違いをしているようだけど、これはValkyrieを陥れる為じゃないよ」
『じゃあ、なに？』
「彼らの力量を見定める為さ。Valkyrieはあまりドリフェスなどには興味がないようだからね。こうして戦って見定める必要があるんだ。
それに、君はもう一つ勘違いしている」
『？』
「これは、お願いじゃない。命令だよ」
『なっ、そんなの卑怯じゃない！』
「さすがに会長命令は卑怯かな？でも、ごめんね。それでも君が欲しいんだ」
『…………』
「あと、今回は彼らと一つ賭けをしようと思ってるんだ。彼らが勝ったらAちゃんを返す」
『返すって、私にはもう…』
「でも、もし僕らが勝ったらAちゃんにはfineの専属になってもらうよ」
『は！？そんな勝手に！』
「ふふっ、楽しみだね。彼らがどうするのか」
私が、Valkyrieの敵？
二人と戦わなくちゃいけないの？
きっと宗は、手を抜いたらそれこそ怒るだろう。
でも、私を賭けた戦いだなんてそもそも宗は引き受けるのだろうか。
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作者名：咲那 | 作成日時：2019年4月1日 22時
