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真澄side
満月が庭を照らし嫌という程に草木を照らしている
普段だったら目につかないような雑草も今はまるで主役であるかのように一生懸命光を浴びている
月は太陽よりも近くにあるはずなのにどれだけ手を伸ばしても届かない
「満月を取ってくれよと泣く子かな」
いつか朱雀院Aが言っていた俳句を思い出した
彼女はこの俳句がお気に入りなようで私が月に手を伸ばす度に小さな声で読んでいた
あの時は彼女はいつでもそばにいて私を照らしてくれていた
まるで自分が世界の中心にでもなったかのような気分だった
優越感がなかったと言えば確実に嘘になるほど私はあの頃の生活が好きだった
けれど私は貪欲で傲慢で醜い人間だった
何かを手に入れれば失ったものを欲しがり そしてまた自ら手を離したものを欲する
久しぶりに会った彼女の瞳は硝子のような澄んだ色ではなく夕焼けのような瞳をしていた
鬼舞辻無惨の血を大量に摂取したのだろう
私は自分の知らない彼女がいることに焦燥感を抱いた
自ら離れておいて何を言っているのだろう
ただ私は彼女の一番近くにいて当時の彼女の全てを知っていた
けれど今は違う
隣にいるのは私ではなく童磨だった
当たり前だ
私は人間として鬼殺隊で鬼を狩り
彼女は鬼として人間を喰らう
本来なら交わることはなかった運命
これが本来の私の人生なのだ
満月ということもあり太陽と同じくらいに私を照らしつける月はまるで朱雀院Aのようで胸が苦しくなった
久しぶりに聞いた彼女の声も
凛としていながらもふわりとした仕草も
周りを圧倒する威圧感も
全てがあの頃と離れていた
「…遠い」
どれだけ手を伸ばしても届かない月と自分に嫌気が差してきた
果たして私の行動は正解だったのか
あんなに勇気を持って全てを話したのに今では後悔ばかりが頭の中を駆け巡る
彼女から受けた恩を忘れたのか？
言わないと約束したのに？
自分の心の声が頭を埋め尽くす
何が正解で何が間違いなのか
今となってはもう分かることはない
まるで呪いのように心を縛りつけた
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (2月3日 22時) (
レス) @page44 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - どうして完結なんや…（） (11月20日 5時) (レス) @page44 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
こいちご。 - ちょっとあまりにも私と解釈一致すぎて泣いてます (2022年12月14日 0時) (レス) @page9 id: 72d95f658b (このIDを非表示/違反報告)
⭐️穂乃果⭐️ - 面白すぎて大草原www (2022年3月6日 10時) (レス) @page15 id: 1b52ef822c (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 続きがとても気になります…！ (2021年9月29日 20時) (レス) @page44 id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぐ
| 作成日時：2019年12月19日 17時
