Raptor２【WT】

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ぎこちない会話を広げながらB級の隊室に戻る最中に辻と瀬鳴は迅と遭遇した

馬鹿みたいに広いこのボーダー基地内には馬鹿みたいに多くの隊員や職員がいる

同じ日に何度も同じ人と遭遇することもあれば長期間後ろ姿さえ見かけないこともある

それにしてもここ最近何かと顔を合わせることが多い迅に対して瀬鳴は違和感を感じていた






｢もしかして待ち伏せてました？｣

｢おっ正解！｣

｢そうだと思いましたよー｣

｢辻 悪いけど瀬鳴借りていい？｣






そう尋ねると辻は｢どうぞ｣と答えた

瀬鳴はなんだか今日は忙しいなと思いながら迅について行った








着いた先は玉狛支部だった

河川のド真ん中に建てられたこの場所は旧ボーダー本部でもあるため他の支部と比べて少し古びている

よく言えば味があるといったところだろうか

リビングに招かれると宇佐美が待っていたと言わんばかりにオレンジジュースと菓子を出してくれた


ありがたく頂いていると宇佐美はそそくさと席を離れた

察した瀬鳴はジュースが入っているコップを机に置く

この場面で何も気にせず菓子を食べているほど能天気ではない





｢今日は瀬鳴に折り入って頼みたいことがあるんだ｣

｢…風刃関連ですか？｣

｢いや今回はそれじゃない｣





今回という言葉に若干引っかかりながらも次の言葉を待つ

迅が言うには近いうち近界民が攻めてくるらしい

民間人やボーダー職員への被害は恐らくないと迅のサイドエフェクトで視えたようだが警戒は怠れない

逆に言うと民間人たちへの被害がないため近界民たちの目的を予想することができないのだ


既にこのことはボーダー上層部とA級の各部隊長そして一部の隊員のみ共有されているらしい

そのうち各部隊の隊員にも共有されるとのことだが瀬鳴には少し早めに話すことになった






｢瀬鳴には基地外戦闘での殿(しんがり)になってほしい｣

｢私が､ですか？｣






迅の言いたいことは大体分かる

トリオンが多く屋内外関係なく戦闘向けのサイドエフェクトを持つ駒を主戦力に持っておきたい

至極真っ当な考えだ

しかし二宮や加古そして優れた隊員が多くいるにも関わらず自分が殿を務める必要性は理解できなかった

狙撃手というポジションを考えていたとしても当真や奈良坂がいるから自分である必要はない

怪訝な目で迅を見ると彼は読めない表情を浮かべていた

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