Raptor２【WT】

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次々とやってくる近界民

仮想空間とはいえ住宅街が無惨な姿になるのは見過ごせない

あまりに成長しすぎた自分を理解し納得する余裕など与えられる余地はなかった

近界民が現れては風刃を放ちブレードがなくなったらリロードしてまた攻撃を再開する

そんなシンプルな動作を続けているとあっという間にタイムリミットである5分はやってきた






[お疲れ様！もう出てきていいよ！]






結果など聞かなくても分かる

自分でも驚くほど多くの近界民を斬った

迅の声が普段より弾んでいるのは結果が期待していたより良くて風刃の後継人ができたからに違いない


仮想空間モードがオフになり訓練室からギャラリーが可視化できるようになった

ギャラリーは瀬鳴が訓練室に入る時より増えている

知る顔も知らぬ顔も多くいる

上層部の数名が何度か頷きながら話し合いをしていた

S級隊員決定について話しているのだろう



喜ぶべきだ

大声を上げて涙を流しながら喜ぶべきシーンだ

なんて言ったってS級隊員になれるのだから

ボーダー隊員の憧れであるA級隊員のさらに上

努力や並の才能じゃどう足掻いても辿り着けない

選ばれた者の世界



頭では名誉なことなのだと分かっている

けれど瀬鳴の脳裏には二宮隊の姿が浮かんでいた

自分がS級隊員に昇格したら二宮隊を脱退しなければならない

ここまで一緒に頑張ってきたのに

ようやく居場所を見つけたのに

自分の望んでいない才能のせいでそれを失うことになる



そんなのは嫌だ

そうなるくらいならS級隊員昇格は断る

よしそうしよう 断ることにしよう






｢二宮さんは私が抜けるって言ったら怒るに決まってるもん｣





自分にそう言い聞かせながらギャラリーにいるであろう二宮の姿を探す

きっと腕を組んで眉間に皺を寄せて瀬鳴の帰りを待っているはずだ

なんて言ったって鈴鳴支部に配属される予定だった瀬鳴を無理矢理引き抜いて自分の部隊に入れたくらいだ

今頃不満そうな顔をしているに違いない




けれどギャラリーに二宮の姿はない

二宮だけでなく犬飼や辻そして氷見も見当たらない

見慣れたはずのスーツ姿はどこにもなくただ一人瀬鳴だけ隊服を纏ったまま立ち尽くしていた

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