・ ページ11
.
仮想訓練施設の中でボーダー基地で最も大きい部屋の中に瀬鳴はいた
ここは新入隊員のレクリエーションに使用されるほどの広さがあり勿論部屋の外にはギャラリー席も設けられている
どこにでもあるような市街地に設定された訓練室に放り込まれた瀬鳴は恨めしそうにギャラリー達を睨んでいた
事の発端は遡ること2時間前
休日ということもあり普段より人が集まっているロビーで課題をこなしている瀬鳴のもとに迅が現れた
彼の手にはブラックトリガーである風迅
その地点で全てを察した瀬鳴はその場を去ろうとするも既に予知していた迅に行く手を阻まれ仮想訓練施設に閉じ込められたというわけだ
[最近風迅の練習してる?]
どこからともなく迅の声が聞こえる
アナウンス室から高みの見物をしているのだろう
「してませんよ、ランク戦期間なんで」
[それもそうか]
迅のことだ わざわざ聞かずとも知っていたに違いない
ギャラリー席にはA級隊員そしてB級隊員の姿がチラホラ
まるで実験施設に閉じ込められた被検体のようで瀬鳴は僅かな不快感を抱いた
[とりあえず軽くトリオン兵散らばせておくから5分間で倒せるだけ倒してくれ]
「タイムアタックってことですね」
[物分りがよくて助かるよ]
見据える先には多くのトリオン兵
「軽く」なんてまるで嘘だ
一概にタイムアタックとは言っても恐らく他の要点もチェックされているだろう
例えば討伐の優先順位
マップが市街地ということは一般市民に被害が出る可能性がある場面を想定していると考えられる
被害を最小に抑えられるかどうか
そこも必然と見られる
「…風刃起動」
そう呟いてトリガーを握ればブォンッと独特な音と共にゆらゆらと揺れるブレードが現れた
何度見てもブレードの多さに目を見張る
荒船の指導の成果か以前と比べたら格段にブレードタイプのトリガーも使いこなせるようになった
B級上がり立ての隊員くらいの腕はあるだろう
とは言えそうすぐにS級に昇格はしない
そう思いながらターゲットに攻撃を放った
___キイイィィィン
甲高い音が響く
強度のある近界民を斬った際の音だ
こんな音など瀬鳴は今まで聞いたことがない
それは瀬鳴が今まで狙撃手だったからというわけではない
あまりにも的確かつ迅速に近界民を討伐したからだ
近界民が心臓となる核を移動させるよりも早く瀬鳴の斬撃は近界民を捉えたのだ
1701人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弓月有無%(プロフ) - コメント失礼致します!!続編もおめでとう御座います。1から拝読させて頂いてる身としても夢主掴み所無くて、色々吃驚させられました!段々と心情がわかって来てストーリー迚も楽しく面白かったです、無理のない程度に頑張って下さい、応援しております! (4月28日 21時) (レス) @page30 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - とても面白かったです。普段明るい夢主ちゃんの闇が少し出てきてわくわくしてたら終わっちゃってて悔しいです、、。 (3月18日 19時) (レス) @page30 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず七味(プロフ) - とっても面白いです!主人公ちゃんの性格とか周りのキャラたちとの会話とか読んでて楽しいです🙋更新楽しみにしてます! (6月26日 20時) (レス) @page30 id: 472c7aa5ca (このIDを非表示/違反報告)
優 - すごく面白くて一気読みしました。主人公どうなるのか気になります。更新大変かと思いますが楽しみに待ってます。 (2023年3月26日 22時) (レス) @page30 id: 2253326350 (このIDを非表示/違反報告)
honoka?*゚(プロフ) - 続きめっちゃ気になります(っ´✪ω✪。`c) (2022年11月1日 1時) (レス) @page25 id: 894349be12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ばぐ | 作成日時:2021年12月19日 14時