Raptor【WT】

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一方迅たちの戦いは終わりかけていた

風間隊の歌川は緊急脱出(ベイルアウト)し残っている太刀川と風間も落ちる寸前

迅は風刃の斬撃をリロード完了したため勝利はもう確実となった

太刀川と風間が顔を顰めながら迅を見ていると彼の後ろに人影が現れた


スーツスタイルの隊服

長い黒髪に青い目 特殊な形の狙撃銃トリガー

瀬鳴A 彼女にも一泡吹かされてしまった

まさかあんな早い段階で菊地原が落とされるとは思ってもいなかった




｢太刀川さん風間さん 遠征お疲れ様でした｣




ペコリと頭を下げながらそう言う瀬鳴に太刀川は思わず笑ってしまった

彼女まで自分たちの勝利を確信しているようで笑いを堪えられなかったのだろう

実際奈良坂らを撤退させたのに瀬鳴までやってきたとなれば確実に負けだ

迅も笑みを浮かべた




｢なるほどな…いずれ来る実戦に備えて手の内を隠していたというわけか…｣

｢悪いね 生粋の能ある鷹なもんで｣

｢…迅さん何かしたんですか｣

｢ちょっとね｣




風間の言葉に疑問を感じた瀬鳴を首を傾げた

尋ねてみたが有耶無耶に誤魔化すあたり迅は答えてくれないのだろう

空気を読んだ瀬鳴は口を噤んだ




｢あと三週間 正式入隊日までの間に必ずお前を倒して黒トリガーを回収する｣

｢残念だけどそりゃ無理だ｣




太刀川の言葉を否定した迅は風刃の残り斬撃を全て使用して二人を落とした

ダンッと緊急脱出のラインが飛んでいった

まさか本当にA級トップ隊員を抑えるだなんて瀬鳴は驚いた




｢瀬鳴が味方してくれてよかったよ｣

｢あまり役立てなくてすみません｣

｢そんなことないさ 今度お礼するよ｣




こちらを制圧したとならば嵐山隊の方の戦いも終結するだろう

なんて言ったって勝ち目がない


迅と瀬鳴はとりあえず本部に戻ることにした

黒トリガーには緊急脱出システムがないため歩いていくしかない

先に緊急脱出してもいいと迅は言ったが瀬鳴は首を横に振った

だが今まで関わりの少なかった迅と瀬鳴は盛り上がるような話題を持ち合わせていない

迅が何となく話題を振った




｢二宮さんなんて言ってた？｣

｢実は二宮さんには話してないんです
言っていいのか分からなかったので｣

｢そっか 言わないでくれたなら助かる｣

｢帰ったら怒られそうだなー｣




瀬鳴は自身の隊長の顔を思い浮かべる

ブルッと震える瀬鳴を見て迅は軽く笑った

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