Raptor【WT】

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ドオンッという発射音が響く

壁が崩れる音が近くで聞こえた次の瞬間には菊地原は頭部に被弾

見事な壁抜きスナイプにその場にいた全員は目を見開いた

まさか嵐山隊の佐鳥以外に狙撃手がいたなんて思いもしなかった




｢これは木崎か？｣

｢いいや レイジさんじゃないよ｣




A級2位部隊隊長の風間は迅に問いかけた

これほどの精密な狙撃 それも建物越し

腕のいい狙撃手じゃなければ難しい

それに姿を隠すのが上手い

撃ってすぐ移動している

迅だけじゃなく狙撃手にも警戒しなければいけないとなるとかなり厳しい


タタンッタタンッと特徴的な発射音が聞こえた頃には既に数発の弾丸が腕を掠めていた

威力はそこまで強くないからダメージはあまり大きくない

しかし弾速も速く連射性が高い

こんな狙撃銃使う隊員は一人しかいない

No.1攻撃手の太刀川は口角を上げた




｢瀬鳴か 良い人選だな｣

｢あーららバレちゃったか｣

｢アイツのサイドエフェクトならこんな建物くらいじゃ障害にもならないもんな｣




B級二宮隊狙撃手の瀬鳴は言わずと知れた隊員でもあった

彼女が主に使うトリガーは二つ

火力重視のアイビス

連射性重視のラプター

どちらもトリオンの消費が激しいというのに惜しまず使うことができる

それは彼女のトリオン量が豊富だからできることだろう

加えて瀬鳴はサイドエフェクトを持っている

A級超技能サイドエフェクトの物体透視化

半径50メートル以内の障害を透視することができるため瀬鳴の前では隠れても無駄


風間たちは迅と瀬鳴の相手をしていても時間の無駄と考え玉狛支部に向かうと判断した

ここでモタモタしていてはトリオン切れになる恐れがある

迅の狙い通りになるのは癪に障るのだろう




｢仕方ないプランBだな 瀬鳴いけるか？｣

[奈良坂先輩たちは私が抑えます]

｢サンキュー 頼りになるねー｣




インカム越しに引き金を引く音が聞こえた

比較的軽めの銃声は迅の頭上を通り抜ける

当たってはいない あくまで威嚇射撃だ

相手の狙撃手の動きを止められるだけで十分

わざわざ喧嘩を吹きかける必要は無い




｢奈良坂 お前は瀬鳴を落とせ
こっちは俺らで片付ける｣




太刀川がNo.2狙撃手の奈良坂に指示を出したことによって銃撃戦が始まった

地上の攻撃手たちの上空を弾丸が通る

トップクラス狙撃手二人の交戦はやはりハイレベルなものだった

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