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人気のない廊下に来た俺と優雅の間には微妙な空気が流れていた

優雅からしたら俺が声をかけた地点で何かあると分かっていたのだろうから早く内容を聞きたいのだろう

俺はコーヒーを優雅に渡して廊下に置かれたベンチに腰を下ろした




「優雅はさAのことどう思う?」

「Aのことですか?」

「そう」




俺の問いに優雅は少し間を開けた

相方のことをどう思うと聞かれるとは思っていなかったのだろう

実際二人の間には第三者からは分からないような絆もあり問題もあるに違いない

それら全てを含めてAのことをどう思うのかが単に気になった




「Aは一人にしちゃいけないんです
…だから俺がいつも傍で守ってやらないと」




数秒の沈黙の後 優雅はそう答えた

その答えは意外なもので俺の予想を大きく外れてしまった


妃旗Aという存在は極めて特殊だ

僅か13歳という年齢でボーダーに入隊しトントン拍子で駒を進めてきた

いくら忍田さんの弟子だからといってもここまでの昇格は正直想像していなかった

今となってはAはボーダー内で数本の指に入る屈指の戦力で必要不可欠の存在

彼女を失ったらボーダーにとって多大なる損失に繋がる


Aは決して弱くない

一人で一部隊分の戦力になるし十分戦える

これは過大評価ではない

そんなAを一人にしてはいけないだなんて言う人は後にも先にも優雅だけだろう




「まるで騎士(ナイト)だね」

「そうですね でもAはお姫様じゃない」

「確かに そういう柄じゃないもんな」




優雅が騎士ならAは何なのだろうか

守られるべき市民でも姫でもない

かと言って騎士長というわけでもない




「万が一の事態が起こったとしても優雅は黒トリガーになるなよ」

「…そういう話ですか
分かってます Aを一人にはしません」

「お前も一人になるなって話だよ」




少しだけ自分より低いところにある頭をポンポンと撫でると優雅は困ったように笑った

その表情がどことなくAと似ている

篠田隊の人は皆同じ表情をする


普段は明るく振舞っているが特殊部隊としての重圧を感じているのだろう

他の隊員よりも死が近く常に戦場に足を踏み入れる彼らは残酷な光景を何度も目にしてきた

どうか彼らの最期は少しくらい報われてほしいと願うことしか俺にはできなかった

・→←過去編(第四章)



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弓月有無%(プロフ) - コメント失礼致します!!描写力が凄くて過去編まで来て思わず悲涙?落涙してしまいました、ストーリーも迚も読みやすく面白かったです!また気が向いたら更新して下さると嬉しいです、他作品も拝読させて頂きます。無理のない程に頑張って下さい是から応援しております (4月27日 20時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 更新ありがとうございます!嬉しいです!! (2022年10月16日 22時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 更新してくださり本当にありがとうございます!!めちゃくちゃうれしいです涙 (2022年9月27日 19時) (レス) @page33 id: c4a16c735a (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2022年9月25日 20時) (レス) @page32 id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しく思います。待ってます。 (2022年5月30日 23時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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