・ ページ36
．
操作盤にこっそりと近付いて周りを見渡す
気配も特にないから近くに人型近界民はいない
だけど私がこの遠征挺の中にいることは分かっているわけだから居場所を気付かれないようにしなければならない
隠密行動が最も苦手な私からするとぶっちゃけ一人で人型近界民相手にするより大変
「これ遠征挺の離脱システムみたい」
『ロック掛かってるか？』
「…掛かってる ちょっといじっていい？」
『気を付けろよ』
画面をタップして操作する
当たり前だけどそう簡単にロックを解除できるはずがない
もういっそこの操作盤ごと破壊したらいいのではとさえ思ったけどトリオン体じゃない状態では傷ひとつ付けられないだろう
機械はどちらかというと得意な方
冬島さんほどではないけど本部のオペレーター並にはできる
トントンと指で画面をタップしながら操作を進めていた時ふと横から風が吹き込んでくるのを感じた
「まーじで？」
『どうした？近界民か？』
「…いや ワープが繋がってる」
急に現れたワープ
しかしそこには人型近界民の姿はなくてただ繋げられているだけの状態
ワープ越しに基地前の風景が見える
『今すぐ逃げろ』
「でもあと少しで解除が…」
『いいから早く！』
冬島さんにしては珍しく急かすような声
後ろから忍田さんも同じようなことを叫んでいるのが聞こえた
誰がどう考えても逃げるべきこの状況
だけど私は目の前の操作盤が気になって仕方がなかった
「今私が逃げたところでトリオン体じゃないから戦えない」
『基地前なら当真を手配するから！』
この操作盤を解除したらどうなるのか
そんなこと全く分からないけどこれこそが私の指名のように感じた
敵の遠征挺を離脱させることでもしかしたら救える命があるのかもしれない
本能的に脳がそう言っている
スマホから聞こえる冬島さんたちの声と頭の中の思考がグルグル回って混乱しそうだ
何をするのがいいんだ
何をしたら少しでも役に立てるのか
考えすぎて息が詰まる
正しい答えじゃなくていい
ただ
「ごめんなさい冬島さん
私まだやらなきゃいけないから」
『おい待て妃旗！！』
ブチッと回線が切れる音が聞こえた
自ら電話を切ったから助けは呼べない
だけど私はやらなければならないことを見つけてしまったのだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ばぐ(プロフ) - 海宙さん» 海宙様お久しぶりです！私もワートリ再熱して書いてしまいました笑 ありがとうございます！今日も一日頑張ってください！ (2020年11月5日 5時) (
レス) id: 16d499b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - まって！今ちょうどワートリ再熱してるんですけど、ワートリとばぐさんとか最高すぎん？って感じです！今まだ読んで無いんですけど絶対読むので読んだらまたコメントしますね！あーー楽しみ！生きる糧にして取り敢えず明日の学校頑張ります！ (2020年11月4日 22時) (レス) id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - おかかのおにぎりさん» ありがとうございます！そんなふうに言ってもらえて嬉しい限りです！前々からワートリの作品を書きたいと思っていたので本当に嬉しいです！これからもご愛読よろしくお願いいたします！ (2020年10月16日 5時) (レス) id: 16d499b4b1 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - ばぐさまの作品全て読ませて頂かせてます！どの作品もとても大好きな神作者さんがとても大好きなワートリの小説を書いてくださるなんて感無量です！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年10月15日 21時) (レス) id: 64b2331bfd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年10月8日 20時
