真実 ページ24
あの日、私が産み出した新たな呼吸。
錆兎と真菰と相談しながら、私はそれを“狐の呼吸”と名づけた。
以来、私は炭治郎の相手をする鍛練の他に、狐の呼吸の技を修得するための鍛練も始めた。
水の派生であるためか、技のほとんどは水の呼吸と似ていた。
唯一異なる点と言えば、「動く」こと。
水とは違い、動物のように動き回る。
私の意思によって技の範囲や威力が操作されるのだ。
つまり、自分の身体を犠牲にせず、協力な技を放つことが可能となる。
悪戦苦闘を繰り返しながら、やっとの思いでいくつかの型を修得することができた。
そして、
__その夜、錆兎は私に、全てを話してくれた。
隠さずに全ての、残酷な真実を。
岩の上に片膝を立てて座る錆兎は、無表情な狐面でこちらを見下ろす。
『え……そんな、嘘だよね?』
私はひきつった笑みを浮かべるが、錆兎からの返答はない。
それは、彼の言葉が事実であることを示す。
『だって、だって錆兎も真菰も、ここにいるじゃん』
「……」
『嘘だよ。私、二人とずっと一緒にいたもの』
『__二人が死んでるなんて、縁起でもない嘘つかないでよっ!』
夜も更けた森の中に響く、悲痛を帯びた声。
爪が食い込むくらい強く拳を握っていると、錆兎は小さな声で謝罪を述べた。
「ごめんな」
『……なんで。謝らないでよ。謝罪じゃなくて、嘘だって言ってよ……っ』
「理解が追いつかないだろうが、最後まで聞いてほしい。
俺も真菰も、最終選別の同じ異形の鬼に殺された。
ソイツは鱗滝さんによって生け捕りにされた鬼で、鱗滝さんへの憎しみを抱き、復讐を望んでいる。
鱗滝さんの弟子を殺すことに執着しているんだ。
ソイツのせいで鱗滝さんの育てた弟子は皆、もう何年も最終選別から帰ってきていない。
鱗滝さんは、そのことに酷く心を痛めている。
そんなときに現れたのが……A、お前だ」
信じがたい話がつらつらと並べられていく中、ふいに呼ばれた自分の名前に反応する。
『私……?』
「お前の自分の身体を犠牲にする戦い方は、誉められたものではない。
だが、その威力は申し分ない。
鱗滝さんもお前の欠点に気づいていただろう。
その上で、お前の威力ならあの鬼を倒せると踏んで、お前に最終選別へ行くことを許可した。
けれど俺は、お前を止めた。
仮にお前があの鬼を倒せたとしても、7日間身体を犠牲に戦い続けた結果、大量出血で命を落とすと予想したからだ」
『……っ!』
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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年8月14日 20時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです!眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです!ここからどういう展開になるのか楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年8月14日 10時