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夢か現実か ページ20

あれ以来、起きている時間は炭治郎と一緒に稽古をすることが多くなった。
炭治郎は日に日に上達していき、今では炭治郎の真剣が私の着物を掠めることもしばしば。

彼の成長を感じると共に、季節の移り変わりも肌で感じてくる。
最近は肌寒い日が続き、早朝に白い吐息を吐くことも多くなった。
冬が近づいている証拠だ。

日ごとにそれらを感じ、比較できるということは、以前よりも頻繁に起きるようになったのかもしれない。


そして今日、久しぶりに右手の温もりを感じながら、私は目を開いた。

『……久しぶりだね、錆兎』

「……」

“未完成”と言われて以来、錆兎は私の前に姿を現さなくなった。
真菰は「Aと顔を会わせるのが気まずいんだよ」と言っていたが、その本当の理由はわからない。

私は枝に寝そべって錆兎の膝に頭を乗せたまま、錆兎の狐面を見上げる。

『最近、時々夢か現実かわからなくなることがあるの』

「……どういう意味だ?」

『炭治郎と話すと、身体が軽くなるような感覚がするんだ。背中に羽根が生えたかのような、不思議な感覚。そんなこと、あるはずないのに。……それと、炭治郎がどんどん上達していく姿を見ていると、嬉しさと悔しさが絡まりあって、なんとも歯がゆい気持ちになる。こんな気持ち初めてで……自分自身に困惑してる』

錆兎に握られていない方の左手を自分の胸元に寄せる。


『これが錆兎の言っていた“絆”と“繋がり”なんだね』

「……後はお前が、感じた“それ”をどうするかだ」

狐面の奥から、満足そうな鼻で笑う声が聞こえた。
私は錆兎に向けて口角をあげ、静かに口を開く。


『……もう一つ、あるんだ。夢か現実かわからなくなること』


炭治郎は言っていた。
「誰かが怪我をしたり、悲しい思いをしたりしていたら、俺も同じくらい痛いし、苦しくなる」と。
それと同じかはわからないけど……ここ最近、私は“誰かに隠し事をされること”を苦しく感じるようになってきた。

錆兎が隠している秘密を知りたい。
錆兎とも“繋がり”を築きたい。

それならばまず、私から動いて、錆兎との距離を詰めなきゃ。
私に寄り添ってくれた、炭治郎のように。



『……ここ最近では頻繁に起きられるようになったけど、私、ずっと長い間眠っていたんだよね? 季節の移り変わりに気がつけないほど、何年も、何十年も。

起きている間ちっともお腹が空かないことも、私だけ山を降りられないことも、それに関係しているの?』

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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年8月14日 20時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです!眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです!ここからどういう展開になるのか楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年8月14日 10時

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