【番外編��】そばにいて、とただ一言 ページ48
あたま、いたい······。さむいし、いきもしにくい。
息苦しさにうっすらと目を開ける。覚醒しきっていない頭で何があったのか思い出そうとした。
確か朝から体が重くて、授業も全然頭に入ってこなくて、今日はグリムが泊まりだからすぐに寝ようとして、ちょっと木のとこで休んで、それで······？
｢頭は働かせない方がいいぞ、仔犬。今は寝ていろ｣
······ああ、思い出した。しんどくなって、そこでクルーウェル先生が来たから、もう大丈夫だって思ったんだ。それで多分倒れたから、クルーウェル先生はオンボロ寮に運んでくれたのだろう。迷惑をかけてしまった。
｢医者によると、やっと体が環境に慣れてきたことで溜まっていたストレスが熱となって出たとの事だ。心因性の発熱だな。よく休めば治る｣
クルーウェル先生はそう話しながら、額にあるタオルを替えてくれた。
つめたくて、きもちいい。
ほぅ、と息を吐くと先生の綺麗な手が首に触れた。
｢高いな。今は熱いか？寒いか？｣
｢······さむい、です｣
｢まだ上がるか······。薬を飲もう。と、その前に何か腹に入れないとな。待っていろ｣
クルーウェル先生は立ち上がって扉へ向かう。その背中が、昔熱でしんどい時部屋を出ていくお姉ちゃんの姿と重なって。
｢······ぁ······｣
いかないで。ひとりにしないで。そばにいて。
言いたいけど、お姉ちゃんの迷惑だから。お姉ちゃんは、ボクのために頑張ってくれてるんだから。
ボクのわがままを言ってはいけない。
｢······おねえちゃん｣
バタンと扉が閉じられたのを見て、オンボロ寮の薄い布団を頭まで被って体を横にしてきゅっと縮こまる。寒い、けど熱い。気持ち悪い。しんどい。
｢うっ、ぐす······ひぅっ······｣
泣いたらもっと頭が痛くなるって分かってるのに勝手に涙が出てきてシーツに染みをつくる。泣き声が木霊する部屋に1人。寒い。心にぽっかり穴が空いて、そこに風が吹いているみたいだ。ぎゅっと体を小さく丸めたって、隙間は埋まってくれない。
こわい。おねえちゃんどこ？ひとりはこわいよ。さびしいよ。
いつになったら、かえれるのかな？
｢せっ、せんせぇ······うぅっ｣
はやく、もどってきて。
【番外編��】そばにいて、とただ一言→←【番外編��】そばにいて、とただ一言
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 688人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます！続編でやらせていただきますね！お待ちください！ (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い！と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは！コメントありがとうございます！私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました！11日以降にまた覗いてみてください！きっとイラストが載ってますよ！ (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです！！ありがとうございます！！続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします！！！ (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：埋夜 冬
| 作成日時：2021年11月21日 23時
