【番外編��】そばにいて、とただ一言 ページ47
その日はずっと仔犬――――監督生の目が虚ろなのが気になっていた。
｢仔犬、体調でも悪いのか？｣
監督生にそう声をかけると、声をかけられたことにビクッと反応した監督生は曖昧に笑う。
｢大丈夫です。ちょっと、寝不足なだけですから｣
｢······そうか｣
前よりはしっかり受け答えをしてくれるようになったが、『大人は見返りを求める悪いヤツ』という認識はまだ残っているようで体に力が入っている。
他の教師に聞いても、そういう反応だと聞いた。それでもすぐ泣いていた前よりは進歩したと言うべきか。
それでは、と駆けて行ってしまった監督生。寝不足なだけなら良いが、風邪でも引いてしまったらあの寮ではすぐに悪化してしまうだろう。今日はしっかり眠れたらいいが。
それから授業や休み時間に見かける度に元気が無くなっているように見えた。あれは完全に、どこか具合が悪くなっている。
少なくとも今日は寮まで送っていった方がいいな。そう判断した俺は監督生が帰る時間に合わせて歩くことにした。
｢おい仔犬共｣
｢あ、クルーウェル先生｣
鏡を通ろうとしていたのは、トラッポラとスペード、そしてグリムだ。監督生の姿はない。
｢仔犬はどうした？｣
｢子分のことか？今日はオレ様ハーツラビュル寮に泊まりだから、子分はもうオンボロ寮に帰ってるんだゾ｣
｢監督生に何か用事ですか？｣
デュースの言葉に曖昧に頷く。監督生は今日、1人なのか。······体調不良、隠すつもりだな。
｢わかった。お前たち、あまり夜更かしするなよ｣
｢はーい｣
トラッポラ達と別れ、俺はオンボロ寮へ続く道を早歩きで通る。監督生は今頃、オンボロ寮の硬いベッドで倒れているんじゃないだろうか。
学園を出て、大通りとは少し逸れた道を行く。オンボロ寮へ続く道だ。周囲に目を配らせながら歩く。
｢······やはりな｣
それは、木の茂みに隠れるようにして縮こまっていた。
｢仔犬、大丈夫か？俺が分かるか？｣
もしかしたら帰り道の途中で力尽きてしまっているのではないか、という俺の予想は当たっていた。
監督生は真っ赤な顔をこちらに向ける。目はあの時より虚ろだ。潤んでいる目と荒い呼吸。どう見ても悪化している。
｢このままでは悪化する一方だ。寮まで送る。少し触るぞ｣
｢くる、える······せ、んせ······｣
途端、仔犬の体の力が抜け俺の方へ倒れてきた。
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます！続編でやらせていただきますね！お待ちください！ (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い！と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは！コメントありがとうございます！私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました！11日以降にまた覗いてみてください！きっとイラストが載ってますよ！ (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです！！ありがとうございます！！続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします！！！ (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜 冬
| 作成日時：2021年11月21日 23時
