第10話 ページ12
家に帰ってきて、少しおやつを食べながら休憩して。休日が終わりへ向かっていく。
サクヤは｢じゃあ天ぷら作ってくるね。油が飛んだら危ないからここで好きなことして待っていて｣と戦力外通告された。わかっている。サクヤの優しさを無下にして手伝った場合、キッチンは戦場と化すだろう。油を使うものなら火事でアパート全焼も有り得る。自分は、それくらい不運の持ち主だから。
サクヤの申し出を有難く受け取り、サクヤが天ぷらその他料亭で出てくるレベルの素晴らしい料理を作っている間、Aは部屋の掃除をしようと腰を上げた。
しかし、部屋はサクヤがいつも掃除機を掛けておいてくれるので塵一つ落ちていないし、いつの間にやったのかベッドはふかふかにされていた。洗濯機もゴロンゴロン回っている。
あれ？さっきまで隣で録画してあった映画を見てポテチを食べてたはずだよね？いつの間にやったの？魔法？
とにかくこれはまずい。ほんの数分の間にやれる事が全部やられている。ダメ人間まっしぐらだ。
何かすること･･･あ、そうだ仕事！
あのヅラ課長にやり直しを言い渡されたアレをやろう。
鞄を漁ってUSBを探す。確か鞄の中に入れたはずだ。
｢･･･あれ？え、嘘！？｣
どれだけ鞄を漁っても出てこなかった。おかしい！絶対入れたのに！
･･･と思ったところで思い出した。仕舞ってからすぐにさらなるサービス残業を言われ、夜まで仕事して、帰りたい一心でいつもの引き出しに仕舞ってしまったのだった。やってしまった。自分はどうしてこうも、肝心な時に何もないのだろうか。
―――――なくさないだけ、マシかもね。
会社にあるのは分かっているんだ。自分の前からいきなり消えることもない。目の前で壊されることもない。それならいいか、なんて。
｢A、大きな声が聞こえたけど大丈夫？何かあった？｣
キッチンからサクヤが覗く。天ぷらをやっているなら目を離したくはないだろうに、心配で見てくれたのか。
｢ううん。何でもないよ、サクヤ｣
それならいいんだ。とサクヤはキッチンに行った。
もういいや。今日は休日だし。サクヤがいなければ何か食べたり飲んだりすることもないほど虚無な1日を過ごしていたがサクヤのおかげで生活リズムが整っている。眠くはならないが、横になっているだけで体の力が抜けた。
油のいい音が響く。きっとキッチンでは料亭料理の準備にサクヤが勤しんでいるところだろう。
ああ、早く離れないとな。
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*-七海-*@めぐ民 - う〜ん…泣ける！もう、今我情緒不安定だからww涙めっちゃ出るんやけどww (2020年8月25日 21時) (
レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» なりましょう！(2人は我らが見てるって事を知らないのだな…) (2020年8月11日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» よし！2人で木になりましょう！！！ (2020年8月9日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» wwwじゃあ、我はその木の枝役に立候補します！！ww (2020年8月9日 22時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» でしょう！？私はめちゃくちゃイケメンな相手にやってるのを見る木の葉役に立候補します！！！ (2020年8月9日 13時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年6月28日 22時
