ここで明かして大丈夫?王子いるよ? ページ36
ビクビクしているとエルがこちらを見て笑う。
「それじゃあ最後に君たちだね」
皆が注目する。目線を下に逸らしながらおずおずと口を開こうとする。
「俺はファル。こっちはA。以上だ」
ファルがAを自分の方に引き寄せる。思わずファルを見ると、「大丈夫だ」と言うように目元が緩んだ。Aがあまりにも緊張していたから気を遣ってくれたのだろう。
「うーんと、得意魔法は?」
勇者オリオンは困った笑顔で聞く。ファルはAを見た。何故かは分からないが、Aはファルの言いたいことは分かった。『俺に任せておけ』。
「俺は・・・そうだな、火だ。Aにはない」
「はぁ?得意魔法がない?」
声を上げたのは隊員のラナスト。皆が自己紹介で言っていることから分かったが、この世界には得意魔法があることが普通なのだと、魔法を使えないAは項垂れた。
「意味分かんねぇ。得意魔法がないってことは魔法使えないのか!?何のためにここにいるんだよ!」
「ラナスト、やめないか」
馬鹿にしたように笑ったラナストをクルシュが窘める。クルシュは知っているからだ。小屋に迎えに行ってグオードと対峙した時、彼は何かしらの力を使った。自分たちにはない力を。
「だってそうだろ!得意魔法がないってことは魔力が極端に少ないって―――――――」
空間が冷えた。殺気と似たものを感じでラナストは口を噤んだ。皆がファルを見る。殺気と似た空気を出しているのはファルだ。冷ややかな目でラナストを見る。
「お前は、魔力を見ることが出来るか?」
「魔力探知のスキルですか?」
シスターのハルが聞くと、ファルは「ああ」と頷く。
魔力探知のスキルは、基本中の基本だ。モンスターをより早く見つけることが出来るし、慣れて常に発動できるようになれば敵の奇襲も意味を成さない。
なのでここにいる者は皆付けているのだ。魔力が多ければ多いほど、その人物の周辺のオーラが大きく見える。
「そのスキルを発動してAのことをよく見ていろよ」
そう言うとファルは出会った頃自分が血を舐めたAの首筋を、2回トントンと叩いた。Aはファルが何をしたいのか分からない。
そう言えば、ギルドに行った時魔力を誤魔化したはずだ。ここで明かして大丈夫?王子いるよ?
「なっ・・・!?」
ラナストが驚愕に目を見開いた。ラナストだけじゃない。皆もAを見て、ガチリと固まった。
「分かるか?これでもまだ、全てじゃない」
ファルは笑った。
出発まで意外と時間ないからファルと特訓でもしよう→←無理怖い帰りたいよファルぅぅ!!
21人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ!ありがとうございます!転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです!これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年8月2日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください!!楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました(笑)まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています! (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年4月15日 6時