36冊目 ページ39
湊が早めに作品を書き上げたおかげで湊の休養は十分に取ることができた。だがAはと言うと凛音とコラボした企画だったり湊の原稿を小説にするための電話などをしたりと多忙で出版社に行くことが多くなった。あのゲームをしまくった日から朝早く出て夜遅くに家に帰ってくる日が続いている。
湊は全く家事が出来ない。代わりにAは帰ってきてから明日の食事の用意や洗濯などの家事諸々をやっている。
少し働きすぎじゃないか?と湊は心配だ。だが湊が手伝ったところで現状が悪化する。台所からは煙が出始める。もう過去にやった経験だ。
今はすでに夜。今日もAは遅いようだ。最近会話が出来なくて寂しい。でもきっとAは疲れて帰ってくるだろう。料理は出来なくても、掃除機やお風呂掃除は出来るんじゃないか?やっておいたら喜んでくれるだろうか。
そう思い、掃除機を掛けようと手を出した時だった。
「ただいま、帰りました……」
Aが帰ってきたようだ。いつもより声に元気がない。
湊は玄関に行きAを迎えようとして驚いた。
「大丈夫!?」
Aの顔は明らかに真っ赤だった。息が荒いし、汗をかいている。明らかに風邪だ。
「今日やっと、大方が、終わったんですよ。あとは、もう少し先でも、問題ないです…」
立ちくらみをしたのかAは壁に寄りかかる。そのままズルズルとしゃがんでしまった。
「すみ、ませ……」
「謝んなくていいから」
肩を貸してソファーまで運ぶ。手が熱い。一先ず上着を脱がせボタンを開けた。あとは確か、冷やすと良いんだったかな?
スマホである程度の看病方法を見る。睡眠、水分補給は絶対大事らしい。つまりはあの格好では駄目だな。着替えさせよう。飲み物は……まあ後で何とかする。
「A、触るよ。楽な格好に着替えるからね」
持ってきたパジャマとAが着ているスーツを交換させる。体温計が指した温度は38度4分。恐らくまだ上がるだろう。
氷枕が家になかった。氷自体は作ってあるので氷水でタオルを濡らそう。自室には行けそうもないので布団も必要だ。
「A、辛いだろうから寝ていて。すぐに準備してくるから」
正直どうしたらいいのか全く分からない。けれど、大事な専属編集者が風邪を引いた時くらい自分で頑張ろうと思う。今時調べれば何でも出てくる時代だ。何とかなると思いたい。
早く治ってね、A。
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通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます! (2019年8月17日 12時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます!自由に付けてくださって大丈夫ですよ!! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね? (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……!(照)ありがとうございます!ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います!お楽しみに!!☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年4月23日 23時