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蒼はいつも、その時に一番掛けてほしい言葉を言ってくれる。
「蒼はどうして、そんなに優しい言葉を掛けてくれるの？」
「Aが俺に同じように、優しい言葉を掛けてくれるからだよ」
ポンポンと蒼はAの頭を撫でた。
「話してくれてありがとう、A」
Aは蒼の顔を見た。心が満たされるくらいかっこよくて、綺麗な微笑みだった。
―――――キスしたい、なんて思うのはおかしいだろうか。
「蒼」
「ん？」
いや待て。キスしたいなんて言うの、恥ずかしくないか！？
そのまま「キスしたい」なんて言おうとした自分はどうしたのか。あまりにも素で思ったからなんの疑問も抱いていなかった。
「な、何でもない！！」
カァァァと赤くなったAを見て、蒼は何となくそういう系統のことを言おうとしたのかと察する。
完璧でほんの少し意地悪な王子様は、こんな可愛い機会を逃すわけないのだ。
「え〜、何言おうとしたの？」
しんみりした空気を断ち切るためと、可愛いAをいじりたくなった蒼は顔を近付けてAに聞く。Aはあわあわと慌てた。抱き締めるのはいいのに、こういう風に顔を近付けるのには慣れていないAが可愛い。
「どうしても知りたいな？」
教えて、と囁くとA赤くなった顔で蒼を見上げて言った。金の瞳は相変わらず宝石の煌めきだ。
「笑わない？」
「もちろん」
何度か言い淀み、目をせわしなく動かしていたAは小さな声で呟くように声を発した。
「蒼に、キスしたいって思ったんだ」
ぱちくりと瞬きを繰り返した蒼は、ふふっと口角をあげた。なんて可愛い恋人だろう。
「それで？してくれないの？」
久々に蒼がした顔は『Aが断れない罪悪感の募る顔』。眉尻を下げて、少し首を傾げる。
「ッ〜！もう、目、閉じててね！」
真っ赤な顔の恋人のお願いを聞き入れ、蒼は目を閉じる。自然と頬が緩むのが隠せない。
瞼に影が落ちる。きっと今のAは震えて、どうしようと色々考えていることだろう。
よし、キスする！とやっと腹を括ったAは自身も目を閉じて蒼の唇を重ねる。柔らかくて、柔軟剤の香りがして、体温を感じる。
蒼は心の中でまた息続かなくなるくらいキスしちゃえよ、と囁く悪魔と戦っていた。
今は初めてAからキスしてくれたのだ。だから、まだ、我慢。
唇を離しお互いを見つめあった二人は、どちらからともなく幸せそうに笑い合うのだった。
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埋夜冬(プロフ) - ｳｪｰｲさん» 喜んでいただけているご様子ですね！嬉しいです！ (2021年7月10日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ｳｪｰｲ - (*＾▽＾*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ！！無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - （＾∇＾） (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作者ホームページ：http://uratuku/sounewawawa1
作成日時：2019年3月5日 23時
