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願い 13 ページ14

ルシファーのことをオルバはよく知っている。あんな恐ろしい人はいない。オルバの立場では本来名前を口にするのも憚れる存在だ。

「あのお方は自分では動かない。もっと周りをうまく使って、圧倒的な頭脳と力を見せつける」

悪魔は生まれたとき一度ルシファーと謁見する。彼の存在感も突き刺す視線も圧倒的な権力も、会った瞬間に分かってしまう。そして彼は謁見のとき全く動かなかった。その頭脳で先を読み命令し、力で操る。すべてが完璧だった。

「人間なんかに構っている暇はあのお方にはないさ。Aも会ったら分かる。すぐに分かるぞ、逆らっちゃ駄目なタイプだって」

いつもおちゃらけているオルバがブルッと身震いする。顔がひきつっているのが分かり、本当に駄目なんだなと察した。

「あのお方は取り憑かない。はぁ、一気に興が削がれたな。周囲を散歩でもしてくるか」

もう一度溜め息をついたオルバは言うが早いがどこかへ消える。絶対的な権力に逆らえないのも、コロコロと変わる表情も、あの悪魔は誰よりも人間らしいと思う。

自分はそんな心無くしてしまった。そもそも相手がいない時点で心は廃れていくのだ。いっそ悪魔にでもなれば、この気持ちも少し変わるのかもしれないな、なんて。

「馬鹿らしい」

ルシファーと呼ばれたあの美人な女性はエクソシストに負けた。消し去ることは出来なかったが、女性から離れ家の者に取り憑かないよう結界を張られたらしい。どういうことかさっぱりなことを言っているがそれで映画は終わった。
映画の感想は、自分も悪魔が寄り付かなくなる結界できないかな、である。悪魔を強制的にルシファーのところに返す術でもいい。

「おーいA!」

あの時チケットを買ったところでオルバが呼ぶ。ふよふよと寄ってきて隣を歩く。

「気晴らしだ、カラオケ行こうぜ!この下の階に安い店があるんだ」

返事の代わりに悪魔を睨む。本当に、本当に行きたくないが仕方ない。これも2日間の我が家安定のためだ。溜め息をついて呟く。

「……行くか」

「おっ!そうこなくっちゃな!こっちだ!」

映画にルシファーが出てきたことで少し不機嫌だったオルバは、今のでご機嫌になったらしい。ニッコリ笑って先にふわふわ飛ぶ。

歌える曲は少ないのでオルバが楽しめるか不安だがいいのだろうか?オルバ曰く親しい者同士が行くのだから行ければいいとのことだ。

本当に、人間みたいな悪魔だな。

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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時

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