願い 12 ページ13
映画が始まった。ヒロインである金髪の女性に悪魔が取り憑くシーンから始まった。この時点では何の悪魔が取り憑いたのか分からず、彼女のいる家ではおかしなことが起こり始める。ラップ音や影、ポルターガイスト。だんだんと酷くなっていくそれに頭を悩ませた家族はそういったことに関連している有名な人たちを全て家に呼びつける。
「いやー、この金髪の女は美人だな!儚げな感じが良いぞ」
「うぅむ、ああいうことをするのは俺たちにとっていたずらと変わらんからなぁ……。まだどの悪魔が憑いているかは決められない。くっ!ネタバラシされる前に絶対見抜いてやるからな!」
「あの除霊の呪文じゃ欠片も効果がない。もっと力を込めんと上がれるものも上がらないぞ。幽霊とか」
案の定、オルバはとんでもなくうるさい。何か言葉を発していないと死ぬ病気ですか?と顔面を掴みながら聞いてやりたい。
それにこれは一応ホラー映画なのだ。自分はもともと怖がる方ではないが、この言葉覚えたておバカ悪魔が隣で喋っているとこの映画の怖さがどんどんマイナスされていく。今はおバカの要らない解説のせいで怖くもなく面白くもなく、至って普通の三流モノとなってしまった。
「おーい、Aは楽しんで観てるか、これ?」
「ああ、悪魔がもっと静かに黙っててくれるなら楽しいと思うしそういう顔をする」
「つまり今は俺の解説のおかげで怖すぎて楽しめないのか!?」
怖いのはお前のそのポジティブ思考だよ!!
喉まで出掛かっていた。寸でのところで抑えてくれた自分の理性に祝杯をあげたい。
「大丈夫だA!ここまでいたずらするのはチンピラ悪魔だからな!きっと俺より弱い!俺らレベルの悪魔は頭が良くてだな、もっと方法が陰湿だ」
どこが大丈夫なのか。そしてオルバレベルの悪魔たちはお前と頭の良さが一緒だとまとめられたくないと思う。
うるさい悪魔のことは無視して映画を観る。エクソシストが来てヒロインに取り憑いている悪魔が劣勢だ。エクソシストが聞く、「お前の名は何だ!!」。ヒロインは低い声で答える、「ルシファーだ」と。
ルシファーならAも聞いたことがある。悪魔の中でも格上の存在で、悪魔界を統一している魔王だったはずだ。
「はぁぁぁ!?」
オルバが、何言ってんだコイツという仏頂面をする。オルバは自分のリーダーをよく知っている。だからこそルシファーが取り憑くのはあり得ないのだ。
「あのお方はこんな分かりやすいやり方はしない」
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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時