願い 7 ページ8
「うえぇ!?それだけの反応なのか!?」
かっこよくポーズを決めていた悪魔は歩き出したAに急いで追い付く。今まで誰もこんな反応しなかったのに!と思って、Aが他の人間とは違い願いがないと言う面白い奴だと思い出す。
「我、悪魔ぞ?めちゃくちゃかっこいい悪魔ぞ?お前本当にいいのか、そんな態度で!仲の良い奴に嫌われても知らないからな!」
「仲の良い奴なんていないからどうでもいいかな」
そうだったコイツ友達いないんだった!
悪魔界でも友達という関係はつくることができる。Aに取り憑いている悪魔は友達が多い方だ。なので友達少ない奴の気持ちは分からない。
「あー、その……いた方が楽しいぞ?」
「やめてよその目。僕はいなくても楽しいし」
あからさまに不機嫌になってしまったAを見て悪魔は慌てる。良い関係を築いていかないと願いを教えてもらえない。人間は信頼が大事だと聞いた。
そんなうちにスーパーマーケットに辿り着いた。夕飯は何を食べようか。そこでうどんが目に入る。簡単だし、今日はうどんにしよう。
他に入れる食材と、明日のための材料を買ってレジに通す。
Aは非力なので一気に買い物なんてしたら腕が折れてしまう。面倒くさくても分けて買いに行くことにしている。結果冷蔵庫にも家の中にも必要最低限のものしか置いていない。
「そんなんで足りるのか?少食そうだよな、お前。細いし」
「余計なお世話」
家に戻る。することがなくて暇だ。いつもはボーっとテレビを見ているか、パソコンを弄っている時間。だが今日は……。
「A!俺について俺が自己紹介してやろう!よく聞いておけ!」
うるさいのがいる。退屈しのぎにはなりそうだが、とにかくうるさい。何でコイツこんなに自信満々なんだ。悪魔とは皆そうなのか?
「改めて紹介しよう!俺は願いを叶える魔人であり悪魔だ!お前の願いを1つだけ叶えてやる。さらに!俺の願いを叶えてくれたら、今後はお前の願いを全て叶えてやろう!対価は不要!俺の前に欲望をさらけ出してくれるだけでいい!」
さあ―――――。
悪魔は吐息を交えてAに近づく。艶やかで、儚くて、狩人の笑みで、悪魔は囁く。
「お前が願いを言えば、今よりもっと生きやすくなる。世界が明るく見える。幸せに暮らす一歩目だ。願いを言うだけだぞ?」
Aはしばらく悪魔を見つめた。そしてため息を吐いて、口を開く。
「お願いじゃないけど、聞きたいことがある」
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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時