後輩の宇髄くんが生意気すぎる件について。

27、 ページ30

.




声がしたことにびっくりして、
慌てて振り向いてしまったせいで
涙を拭うのを忘れていた。



そこには、“例の彼”。



ぽろり、と私の目から雫が落ちる。







…最悪だ。
しのぶと杏寿郎にすら、
泣いているところを見せたことはない。


よりによって1番、弱みを握られたくない相手に
そんな醜態を晒してしまった。



｢わり、さっきの聞いちまったわ。｣

冨岡のこと好きだったんだな、あんた。


なんて言いながら近付いてくる。


『笑いたければ笑いなさいよ。』


そう言い、再度背を向けた。







.






｢ほんと、素直じゃねーのな。｣


クスリ、と笑う声がする。
それと同時に後ろに引っ張られる私の体。





向きを変えられ
気が付けば目の前には彼の胸元。



あの日と同じ、
なんだか落ち着いてしまうような彼の香り。



｢泣きたきゃ泣けよ。｣



俺しか見てねえんだからよ。



ひどいくらいに優しい彼の声は、
私の涙腺を再度壊すには十分で。




『………生意気。』


そんな強がりな言葉を吐く私は
彼の背中に手を回すことはしない。









素直なのは、彼の服を濡らしたものだけだった。






.








.







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(天元様、背が190超えるのに
胸元に顔が来る夢主の身長………？
っていうツッコミはなしね…？笑)

.

お知らせ→←26、

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す