第4章 一舞 始まり、そして終わりの鐘の音。 ページ7
「るんるんるーん！」
スキップをしながら、俺はいつもと違う通学路を歩く。
勘のいい人はお分かりだろう。
「君の事を好きで居たいと思うほど、浅はかな私だけれどもーーー………？」
人気が少なかったからか彼女は持ち曲を口ずさんでいたが、段々デクレッシェンドしていってしまった。
「…！」
何かに気付き、警戒する様に逃げる。案の定俺は、彼女の後をスマホ片手に追い掛ける。
「昨日の帰りも居たけど……まさか…？」
何かを悟った様に物音が聞こえた方へ睨むと、彼女はダンスで鍛えてであろう持ち前の脚力で俺より早く、遠く走って行ってしまった。
「まぁ、睨み顔も撮れたしいっか！」
結果オーライという所だろう。折角なので、昨日の帰りに通った道を歩いてみる事にした。
ここからAと出逢った公園は結構近い。昨日は気付かなかったが、どうやら、彼女の近所だった様だ。
「にしても、本当に桜が綺麗〜！」
あの日と同じ様に桜が綺麗だったが、隣にAが居ないのは残念な点だ。
だって俺のカノジョだもの！
可愛い過ぎるから、俺が悪い男から守ろうとしてるんだよ！そう！
なのに恥ずかしがって、逃げちゃうんだよ。
ーーって……ん？
俺の見据えた先に佇む、大和撫子。
ーーそして
・
・
・
ーーーー同じユニットのサリー。
「俺に隠れて浮気とは…！でも、恥ずかしがってただけだし、絶対絶対ぜぇーったい！サリーが無理矢理俺から奪ったんだよね！」
比較的人通りの少ないこの道では、不気味に思われる事はない。寧ろ、見つかる様な場所に俺は立っていない。
しかし、その時の俺の目は節穴だった。
サリーの目がこちらに向いており、その瞳に含まれた殺気と怒りと守護者の色に気付くこともなく。
そして自分でも薄々気づいていた。
《もう、気が狂っている事に。》
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作者名：フィーア@白ワンピP | 作成日時：2017年3月19日 23時
