調査書 No.06 ページ7
「って感じですかね
ペトラさんどうかしました?」
Aが端的に話し終わると、目の前のペトラは薄らと涙を浮かべていた。こんな話で泣かれても困る、とAはどう言葉をかけようかと迷った
「まぁまぁ、そんなAが今じゃこんな生意気に成長したし、結果オーライじゃん?」
「生意気は余分ですハンジさん」
「A、よく頑張ったわねっ…えらい!!!」
ペトラは泣きながらAに抱きついて、頭をグリグリと撫でた。
他人の事でこんな感傷的にるなんて、暇な人だなぁと思いつつも、Aは自分のことでこんなにも涙を流してくれる人がいる事に、少し安心感を覚えた。
感動のシーンの途中で悪いが、とハンジは咳払いをして、この後用事があるんじゃないか?とペトラに言った。その瞬間ペトラは血相を変えて、来た道を引き返して行った。
「変わった人ですね」
「優しい子なんだよ、だからリヴァイも自分の班に入れたんだろ?」
「えっ、ペトラさんってリヴァイさんの班なんですか?」
「まぁ、一応ね」
Aはこれから私の班員だけどねー!と嬉しげに笑ったハンジと裏腹に、Aはこれからの行く末に頭を抱えた。
こんな変人の元で過ごすなんて先が思いやられる、と思ったAだったが、班員はそれほど個性的な人は居なく、逆にしっかり者の集まりであった。
ハンジを除いては。
...................................
入団して数ヶ月が経過した。
今年入団した兵士にとっては今日が初の壁外調査になる日だ。朝から新兵は顔が強ばり、口数も格段と減っていた。それはAも同じで、いくら兵士じゃない時から壁外調査に着いて行ったといっても、自分の置かれている立場が違いすぎる。
あの頃は守ってくれる人がいたが、今は自分の身は自分で守らなければならない。その重圧が重いのだ
「おい」
「は、い!」
「なに緊張してんだ」
話しかけてきたのはリヴァイで、腰に手を当て少し呆れ気味だった。
「なにって、壁外調査ですよ?緊張するに決まってるじゃないですか」
「今回は進路を開拓するだけだ、特に巨人との接近戦は考えずらいはずだ」
「ですが……」
「お前は数年前のお前とは違う。
役に立つか分からないが、少なからず巨人を倒す技術を持っている、それだけで十分じゃねぇか」
それだけ言うとリヴァイは持ち場へ戻って行った。これが彼の励ましだと考えても、今はそれどころではなかったAだった。
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作者名:暁月 | 作成日時:2018年9月30日 0時