【◇】群青エース . 20 (ページ28)

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栄純のことを信じ、期待しているだからこそここまでするのではないかと

Aは監督の栄純に対する接し方でだんだんとそう思えてきた。

まだ栄純にはチャンスがあり、それを掴むことだってできる。

狩場「これが打者のいないときのフォーム」

狩場「それでこれが監督が打席に入った時のフォームです」

練習終わり、食堂ではブルペンでの投球をビデオで撮影したものを

御幸や栄純、狩場やAやその他数人が見ていた

狩場「途中までは全く変わらないけど…ほら、最後！」

A「狩場くんと見てて気がついたのだけれど、ほんの少し腕が振り切れてないように見えた」

投球を間近で見ていた狩場とAは監督が打席に入った瞬間のインコースへの投球の際

栄純の投げる腕が振り切れていないことを指摘、それは本当によく見てないと気が付かないような本当に僅かな違い。

御幸「そうか？」

狩場「自分、間違い探し得意っすから！雛瀬は見る目が鋭くて目の付け所が違いますし！」

A「でも…私の目はあんまあてにしない方がいいかもしれない」

あくまでAは狩場のように自信を持って言えるわけではなく、そう見えたというだけ

本当かどうかは分からない。

御幸(もっと分かりやすくフォームが崩れているなら注文もつけられたけど…これじゃあ言われた本人が困るよな)

メンタルは人によってそれぞれ違うものだから本当にこういう状況は難しい

御幸(ふとしたきっかけさえ掴めれば取り戻すこともあるって言うし)

イップスは何も完全に立ち直れないものではなく、人によってはそれを克服することが稀にある

栄純だってその可能性は十分にありえる

ただその克服するためのきっかけを今は模索している状態

御幸(けどまぁ、インコースに投げなきゃと意識しすぎて腕が振り切れてないって言うのはあるかもしれねぇな)

御幸(最近少し追い込みすぎたし)

ビデオを見てから悔しそうにはを食いしばり俯いた栄純

それを見て御幸はとんでもないことを口にし始める

御幸「沢村、お前もうごちゃごちゃ難しく考えるな」

御幸「元々大してコントロールもよくないんだし、バカなんだから」