【◇】群青エース . 16 (ページ10)

今日:4 hit、昨日:13 hit、合計:33,884 hit

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9回表ワンアウトランナー3塁

青道の追加点のチャンス、打席にはそのまま栄純が入った。

─もっと肩の力を抜け、出来ることだけやればいいからな

─この打席でお前に求めるのはたった1つ

一体監督は栄純に何を求めたのか

外野はバックホーム体勢

山岡(来るなら来い)

翼(絶対に守り抜く…！)

白河(全く、この状況で)

”ここで負ける気だけは全然しねぇから”

吉沢(強がりでも自信過剰でもなんだっていい)

吉沢(負ける気がしねぇ、ウチのエースがそう言ってんだからよ)

絶対的な信頼を寄せられているチームのエースを前に栄純は求められたことを発揮できるのか

原田(十中八九狙いはスクイズだろうな…3塁ランナーが丸見えでも左バッターだからな)

原田が鳴に出した指示は初球アウトコースのスライダー

これでバッターの出方を見る。

─いいか、打席でもお前の動き仕草全て見られている

─初球はなるべく打ちに行く素振りを見せろ

鳴が投げたボールに狙いを定める栄純

あくまで打つ素振りを初球で見せるのが目的

本当に打てとは言っていない、打つフリでいいのだ。

栄純「よいしょー！！」

投げられたボールが栄純の振ったバットに

カキンと音を立てて

打ちに行く素振りを見せるだけのつもりだったのに球が当たってしまった。

審判「ファール！！」

A「当たっちゃった……」

御幸(いやいや、”打て”のサイン出てねーし)

結果は当然ファールで得点にはならず、何食わぬ顔でまたバットを構える栄純だが

その胸中は─

栄純(あ、危ねぇ…空振りしようとしたらバットに当たっちまった…！！)

心臓バックバクで汗ダラダラ

ベンチにいた部長は本当に当ててどうするんだと本人よりハラハラドキドキして落ち着きがないし…。

クリス(これには向こうも戸惑うはず…)

初球は思わずバットに当たってしまう結果になったが、これには相手も予想外で戸惑いを生んだと思いたい。

クリス(前向きに捉えれば…これはチャンス)

A(もしスクイズで得点を入れたいのなら…今がチャンスとも呼べるよ、この状況は)

冷ややかな目で栄純を見る鳴

声援を送るスタンドやベンチにいる仲間

栄純はもう一度バットを握りしめ、構えた。